宿泊客の重~いコメント
――先ほどのすれ違う方が多いエピソードにも関連しますが、それだけホテルに滞在して、中を散策している客が多いのではないか、と勝手に想像するのですが。
このホテルは多いですね。開業前の事業計画にもあるのですが、「デスティネーションホテル」、目的地としてのホテルになる可能性が高いと思っていました。
普通なら、商用でもレジャーでも、どこか目的地があって、あとからホテルを決める、航空会社を決める。そうではなく、ここに泊まる、ここに来ることが目的化している。そういう方は非常に多いですね。
――先日取材したシャングリ・ラ東京などは、ホテルを目的化するのでなく、東京観光や日本全体の観光に来ているのだから、周辺をできるだけ案内する、というコンセプトだったのですが、真逆のことを言っていて印象的ですね。
それは、ほかのホテルと際立って違うところだと思いますね。もちろん観光業界全体のことを考えれば、東京により多くのお客さんが来てほしいし、「大丸有」という大手町、丸の内、有楽町の街の魅力を高めようということは、当然、考えています。
ただ、このホテルは、ほかのホテルと違って、目的化されていると感じます。
――目的化と言う場合、イメージ的に「なんとなく行ってみたい」と思うのか、それとも「このホテルのここへ行ってみたい」といった明確な目的があるのか、お感じになることはありますか。
両方あると思います。たとえば、ご宴会でも、お食事でも、ご披露宴でも、ご宿泊でもいいんですが、当ホテルと直接のかかわりがあった方、思い出があった方。ご両親が何十年前にここで結婚式を挙げたので私たちも、という方がいらっしゃいます。
あとは、実際に泊まったことはないけれども、ここにかかわったことはないけれども、自分の生きてきた人生そのものをここに投影されている方たちのゲストコメントが非常に多いですね。
――たとえば、どんなコメントですか?
いちばんわかりやすいのは、「一度、人生最後このホテルに泊まってみたかった」というもの。お父様なり、お母様がそうおっしゃっていたことを聞いて、ご子息がプレゼントされるケースが非常に多いですね。
直接の思い出があったのではなく、丸の内に勤務されていたのでもない。自分の生きてきた何か、うまく説明できないのですが、そういうものを感じられる方が非常に多い。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら