東京ステーションホテルの客がアツい理由 「帰りたくない!」など熱いコメント続出

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開業準備でスタッフが集まったときに、接客や言葉遣いとか、ほかのホテルならいちばん時間をかけること以上に、とにかくこの駅、このホテルがどうして作られて、100年前当時の時代背景はどうなっていたのかを勉強しました。

なぜ洋風のレンガ造りと決めたのか、誰が決めたのか。100年間に紡がれてきた思い出や出来事は何があったのか。今回再開業するに当たっては、どういった人たちがかかわって、どれだけの困難があって、職人さんたちがどれだけ大変だったか、それをひたすら勉強することに、徹底的に時間をかけました。

もちろんサービスは大切ですが、それよりも大切なこと。逆に、従業員の言葉遣いなどは直さなかったですね。

――それは、ほかのホテルではまずないことですね。

松本清張『点と線』の時代から変わらない、東京駅の存在感

直さなかった。逆に「それでいい」と言いましたから。

集まった従業員の3割がグループ社員で、7割が外部から。東京の俗に言うフルサービスのシティホテル経験者は非常に少ない。地方の旅館の仲居さん、地方のビジネスホテル。

開業前の飲み会でたまたま私の前に座った女性が鹿児島県出身で、「まあ、せっかく東京に出てきたので、標準語しゃべれなきゃダメですよね」と言う。

「何言ってるんだ」と。「関係ない、そういうことをするホテルじゃない。切れ味の鋭いサービスはいらない。かえって人を傷つけるから」。

「俺たちのホテルはそういうことじゃなくて、あなたらしくすれば、そのままでいいんだ。その代わり、九州の方が来たら、鹿児島の方が来たら、他人にできない接客をしなさい」と。彼女は「それでいいんですか?」。私は「それでぜんぜんいいんだ」と言いました。

――まさに東京って、そういうところですよね。ましてターミナル駅というのは。

そうだと思います。だから彼女はもう、生き生きとやっていますね。

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