明日は我身、アルコール依存症の意外な真実 自己診断テストで、依存症の可能性を知ろう

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アルコール依存症が疑われれば、専門医へ受診することが勧められる。精神科医でもアルコール依存症の治療に関心が低い医師では、あまり熱心に診療してもらえないことが多い。かつてはアルコールを専門とする医師や医療機関を見つけだすこと自体が難しかった。

しかし、現在では、「アルコール依存症治療ナビ」で、その地域の専門機関を検索することにより簡単に見つけられる。たとえ、少々自宅から離れている機関であったとしても、少なくとも最初の段階ではアルコール依存症の治療の専門医へ受診することが望まれる。

アルコール依存症に対する精神療法として、行動療法、認知行動療法、内観療法、集団精神療法が行われたり、薬物治療が行われる。軽症のアルコール依存症であれば、生活習慣の変化を目指す短時間の行動カウンセリングが外来などで行われることもあるが、重症であれば約3カ月の入院で断酒を体験することになる。

アルコール依存症の人は依存状態から抜け出したと感じられるのに、やはり最低3カ月はかかったと体験を話してくれる。その後の長い人生を考えて、この3ヶ月を有効に使うことが必要だろう。

筆者にとって興味深かったのは、アルコール依存のために入院するときに付き添った妻からの話である。アルコール専門機関に入院する日に、「これでやっと飲まなくてすむようになる」、本人がつぶやいたというのだ。アルコール依存症者は好き勝手に飲んでいるのだと思われがちだが、実際には蟻地獄に吸い込まれるように「やめたい、やめたい」と思いながらも飲んでしまっていることも多いのだ。職場からも見放され、家族からも見放されて孤独になり、生活が破綻していても抜け出せない地獄を体験しているのだ。

 因みに、大量に飲酒する人は、「自分はアルコールに強いから大丈夫」と思いがちだ。しかし、実際にアルコール依存症になってしまったり、アルコールのために身体の病気を発症したりするのは、アルコールに強いと言われる人だ。アルコールで悪酔いしにくいということと、精神や身体がアルコールに対して強いということは全く別のことであり、むしろアルコールに強いと言われる人こそアルコールに弱いということになる。

自助グループ活動への参加も有効

アルコール依存の治療の一環として忘れてならないのが、自助グループ活動への参加である。患者同士が集まって話し合う会であり、わが国にもAlcoholics Anonimous (AA)全日本断酒連盟などいくつかある。

アルコール依存症者が集まって、自分たちのアルコールにまつわる体験を話したり聞いたりすることにより、酒を飲まなくてもすむようになるという、グループによる対話がもたれている。

たとえば、AAは全国各地の教会や公民館の一室を使って行われており、自分たちの献金だけで運営されている。ネット上で自分が参加しやすい場所と時間でミーティングを調べてみるといい。約1時間半のミーティングで、午前、午後、夜などにさまざまな曜日で開催されている。

アルコール関連問題の診療を専門とする医師として、アルコール依存症の患者さんをこの自助グループにいかにつなぐかが治療成功の鍵を握っていると感じている。

アルコール依存症者の家族や友人のための自助グループ活動「アラノン家族グループ」などもある。どうしてもアルコール依存の本人が自助グループ活動につながらないときには、そのような会に家族が参加してみることも依存症脱出の手がかりになるかもしれない。アルコール依存症は治らないと絶望している家族や友人は、これらの集まりに一度参加されると希望が見えてくるのではないだろうか。

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