「ここで死んでもいい」という覚悟が力を生む

プロトレイルランナーに学ぶ人生の極意

レース前の高ぶった気持ちを抑えるために、プロトレイルランナーの鏑木毅氏が読むものとは?(写真:トレイルランニングワールド)
人生においても、仕事においても、いざというときに真の実力を出せるかどうかは、それまでくぐってきた修羅場の数で決まる。プロトレイルランナーの鏑木毅氏は、なぜ最も過酷なウルトラトレイルの世界で、トップランナーの仲間入りができたのだろうか。
いじめられっ子、三流ランナー、無気力公務員から40歳で世界3位になった鏑木氏の著書『プロトレイルランナーに学ぶ やり遂げる技術』には、ビジネスパーソンが修羅場を乗り越える際に大いに参考になる「技術」も紹介されている。

現地入りして、レースまであと数日というときには、高ぶった気持ちを抑えるために、気持ちが落ち着く映画を見たり、歴史小説を読んだりして過ごします。

僕は司馬遼太郎が大好きで、月並みですが『竜馬がゆく』(全8巻、文春文庫、新装版1998年)や、幕末・長州の大村益次郎を描いた『花神(かしん)』(上中下巻、新潮文庫、改版 1976年)はもう何回も読んでいます。レース前に読むと、不思議と気持ちが落ち着くのです。

最後まで走り切れるなら燃え尽きてもかまわない

この2つのストーリーには共通点があって、底辺にいた人間がはい上がっていく過程を描いた物語で、最後にやっと花開いた直後に2人とも暗殺されて死んでしまうのです。人生を懸けて成し遂げた後、何の未練もなくパッと消えていくところに美学を感じるというか、そういう生き方に対するあこがれがすごくあります。

この2人の生きざまに、これからレースに臨む自分をなぞらえているのかもしれません。まもなく始まる本番に向けて、僕の気持ちは「もうこの先がない」「これで死んでもいい」と思い詰めてしまうくらい高ぶっています。決して悲壮感が漂っているわけではなく、自分にとって最高の舞台、人生の中の一大イベントがこれから始まるんだという期待感、最後まで走り切れるなら燃え尽きてもかまわないという覚悟が、怒涛のように押し寄せてきます。そのときの気分に、坂本龍馬と大村益次郎の生きざまがピタリと重なるのです。

次ページ悲壮感を持ってしまうと、ワクワク感が消えてしまう
ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 仲人はミタ-婚活現場からのリアルボイス-
  • ぐんぐん伸びる子は何が違うのか?
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • 「非会社員」の知られざる稼ぎ方
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
改正対応待ったなし!<br>働き方と仕事の法律

同一労働同一賃金の本格化、中小企業でのパワハラ防止対策の義務化など、今年は重要な改正法の施行が目白押し。2022年に施行される法律の要点に加え、昨年の4月に施行された改正民法も総点検。改正ラッシュへの備えを万全にするための法律虎の巻です。

  • 新刊
  • ランキング
東洋経済education×ICT