大学難易度のクラス別で見ると、別な傾向が見えてくる。旧帝大クラス(東大、京大、東北大、九大、北海道大、阪大、名大の旧帝大に一橋大、東工大、神戸大を加えた学生群)と、早慶クラス(早大、慶大、上智大、同志社大、関西学院大の学生群)の違いで見てみよう。
まず文系だが、旧帝大クラスで志望する業界として多いのは、「通信、ネットワーク」(19.0%)、「電力、ガス」(16.7%)で、次に「生命保険、損害保険」、「メガバンク、信託銀行」、「倉庫、運輸」、「紙、パルプ、化学、素材」が14.3%で並んでいる。
早慶クラスでは、「総合商社、専門商社」(20.3%)、「情報処理、システム開発」(20.3%)、「生命保険、損害保険」(20.3%)がトップに並び、「建設、住宅、不動産」(17.6%)、「メガバンク、信託銀行」(17.6%)が続く。商社やIT産業への関心が強いようだ。
旧帝大、早慶では金融人気が続く
全体では人気が急落していた「メガバンク、信託銀行」だが、旧帝大や早慶では、依然として人気が高い。採用数の抑制や行員の削減は、自分たちにはそれほど関係ないと思っているのかもしれない。
メガバンクの採用数が1000~2000人規模に膨れ上がっていた要因は、かつて採用していなかった中堅大学クラスからでも大量に採用していたこと。これから始まる採用数の抑制の影響は、主にこれらの大学層に大きく表れることが予想される。
メカバンク人気急落の原因は、上位校以外の層の危機感の表れだ。就職人気ランキングには、入社後の仕事のやりがいやステータスだけでなく、入りやすいかどうかの観点も多分に含まれる。
また、大学クラスによる業界人気の違いは、理系になると、その振れ幅が一段と大きくなる。
「水産、農林、食品」を志望する業界に選ぶ理系学生は、旧帝大クラスでは31.3%とかなり高いが、早慶クラスでは5.9%と低くなる。また「紙、パルプ、化学、素材」も、旧帝大クラスは37.5%と人気があるが、早慶クラスは12.8%と、3分の1にとどまる。
逆に、「情報処理、システム開発」になると、早慶クラスが41.2%と半分近くの学生の支持を集めているのに、旧帝大クラスでは17.5%と2割に届かない。「電機機器、電気電子部品」でも、早慶クラスは35.3%だが、旧帝大クラスは17.5%にとどまっている。「通信、ネットワーク」も、早慶クラスが23.5%なのに、旧帝大クラスは10.0%と低い。
理系の就活は、研究室や教授に影響されることが多く、大学の学部構成によっても違いが出てくる。そうした点もこの差となって表れているのかもしれない。いずれにせよ、就活における人気・不人気の業界は、世の変遷を色濃く映し出している。
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