この原因は容易にわかる。メガバンクが業務を大幅にデジタル化し、窓口業務の効率化を打ち出したからだ。支店・出張所を統廃合し、従業員数も圧縮すると公表している。2019年卒からの採用数も大幅に削減。特に一般職を志望する女子学生は、これまでメガバンクを目指す人が多かったが、今年は大幅に減ると思われる。
次に分かるのは不人気業界のトップ5の顔ぶれが文系も理系も同じだということ。6位以下はかなりばらつきがあり、嫌う学生もいれば、そうでない学生もいる。しかし、トップ5は共通して、「学生が敬遠している」といえる。
3つめは、そのトップ5のうち、4業界が金融・生損保で占められていること。勤務条件や待遇面が比較的よくない、外食産業に行きたくない学生が多いことは想像できる。しかし、金融・生損保業界は就職人気ランキングに上位に入る、人気業界だったはずだ。しかし、メガバンクが構造変革に取り組むというニュースを読んだ学生が、金融・生損保離れを起こしたのかもしれない。
確かに少子高齢化が進み、超低金利時代が長く続く日本では、金融業界、生損保業界が生き残っていくのは難しくなっている。業界再編がさらに進む可能性があり、そうした状況を敏感に感じとっているのかもしれない。
不人気トップ5は文系、理系で同じ
一方、「志望する業界」では、文系、理系で結果はかなり異なっている。文系トップは「総合商社、専門商社」で、2位「建設、住宅、不動産」、3位「情報処理、システム開発」、4位「水産、農林、食品」、5位「人材、教育」の順だ。
理系のほうは、「水産、農林、食品」がトップで、2位「紙、パルプ、化学、素材」、3位「情報処理、システム開発」、4位「電機機器、電気電子部品」、5位「通信、ネットワーク」となっている。
「情報処理、システム開発」と「水産、農林、食品」は、文系にも理系にも人気があるが、他はばらついている。「情報処理、システム開発」は、いわゆるIT産業を指しており、学生は高い成長性に期待しているのだろう。「水産、農林、食品」に、なぜ人気があるのかと思うかもしれないが、主に「食品」人気に支えられている。この業界には、サントリー、味の素、ネスレ、アサヒビール、明治グループ、キリン、森永製菓といった優良企業が含まれる。
多くの就職人気企業ランキングで人気が高い総合商社は、文系でトップ(21.4%)だが、理系での人気は11位(5.6%)とさほど高くない。メガバンクなどの金融もそうだが、これからの業界は業務構造の変革に理系人材は必要になるはず。しかし、理系学生の人気は薄い。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら