日本のベンチャーイベントにモノ申す!

参加者が”見物客”から”実行者”に変わるべきだ

なぜ、“招待制”であることがいいのか?

このIVSは、2004年11月に産声を上げてから、これまでに約10年近く継続して行われている点も特徴だ。開催当初は100人程度だった参加者が12月に開かれるイベントでは650人(経営者・幹部450人、投資家・大企業の経営企画200人)の参加者まで広がり、海外からの参加者も1割を超える。当初、ベンチャー起業家の合宿か飲み会のようだったイベントが、今では、大企業がスポンサーとなり支援する一大イベントにまで成長し、日本のベンチャーシーンを牽引している。

IVSの企画・運営責任者であるインフィニティ・ベンチャーズLLPの小林雅氏は、次のように語る。

「グリー、ディー・エヌ・エー、ミクシィ、コロプラのように当初の仲間が上場し、時価総額3000億円を超える企業も出てきた。また、gumiなどのように数人規模だった会社がグローバルに影響力のある企業へとなった。そうした中、IVSにも、海外からの登壇者・参加者が増え、一方でフジテレビやTBSなどがベンチャーファンドを立ち上げるなど、外部環境も変わってきた。継続する中でベンチャーをめぐる流れの変化を感じることができた」

さらにIVSは、招待制をとることでビジネスと直接結び付く機会になっているという。「Launch Pad」という7年前から始まったプレゼンイベントは、厳選された若い起業家たちによる新サービスの発表の場(1社6分×12社)であり、参加者自体が厳選されているため、発表者への資金投資・提携などの動きも活発化しているという。個人的にも、日本最高レベルのプレゼンイベントだと思うし、刺激を受けることも多い。

さらに、「ヤフーとディー・エヌ・エーが提携関係を結んでいる『ヤフー!モバゲー』もIVSでの雑談から生まれた」(小林氏)など、経営層が集まるからこそのダイナミックな動きが生まれることも特徴と言えよう。

また、ベンチャー起業家や投資家だけでなく、棋士(羽生善治氏)や医師(ミャンマーなどで医療支援活動する吉岡秀人氏)、ヒューマンライツウオッチなどの社会的問題に関する講演もあり、多様な学び・交流の場になっている。

私はこのIVSの進化こそ、まさしく日本のベンチャーシーンの進化だとも言えると思っている。

冒頭の言葉のように、「本物に会う」という経験は必要な経験である。日本にも、多くの経営者に会える“場”はできつつある。とはいえ、ただ、「面白そう」と見物するだけ、「刺激を受けた」と感想を言うだけといった、ただの観客になってしまってはダメだ。また、参加申し込みをすれば必ず行ける場にとどまっていてもダメだ。どのように行動に結び付けるか、そして招待制などのクローズドなカンファレンスに参加するために何ができるか(どのような価値を提供できるか)、ということを考える必要がある。

IVSも、小林氏の想いから始まった。2002年に、シリコンバレーで参加した「技術者向けのカンファレンス(テーマがウェブサービス)」で、後ろの席にアマゾン創業者のジェフ・ベゾスが参加しており(その後、Amazon Web Service〈AWS〉につながっていく)、「経営者が学び、実践していくことのすごさを感じた。こうしたカンファレンスを日本でできたら面白い」と思ったことがきっかけで、実現すべく、動いてきた結果だ。“観客”ではなく“実行者”となれるか――。そのことが大切だと思う。

冒頭の言葉は、本連載の筆者・伊佐山元氏の書籍『シリコンバレー流世界最先端の働き方』(中経出版)からの引用です。シリコンバレーの働き方を「スタイル(流儀)」「ビジョン(志)」「アイディア(発想)」「プリンシプル(行動)」など6つのテーマに分けて、自身の経験をベースに紹介している書籍が発売中です。

 

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