日本のベンチャーイベントにモノ申す! 参加者が”見物客”から”実行者”に変わるべきだ

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日本のベンチャーイベントは“見物客”が多い

なぜなら、これまでの日本のベンチャーシーンのように一過性のブームで終わってしまう可能性があるからだ。“数”が増えた今だからこそ、日本にシリコンバレーのようなベンチャー文化を定着させるにはどうすればいいかについて、考える必要があるのではないだろうか――。それは「本物に会う」機会を、とにかく数多く作るということだけではなく、参加者にも質を問う形であるべきだと思うのだ。

日本のベンチャーイベントを見ていて思うのは、“参加者”よりも“見物客”が多いことだ。たとえば、参加申し込みをすれば、誰でも無料で参加できるイベントでは、その多くが聴衆となり、「ただ話を聞く」だけで終わってしまっている。また、参加費を払えば審査なく入場できるイベントも、プレゼンを見に来る“見物”で終わり、当事者としてビジネスへと発展してくことはほとんどない。「申し込めばいい」「おカネを払えばいい」というだけでなく、参加者がクオリファイ(公式予選)するだけの素養を持つべきである。

私がシリコンバレーで様々なイベントに参加する時に心掛けているのは、対話や議論の”等価交換”という考えだ。つまり、どんな場に行っても、自分なりの意見や視点を持つことで、単なる参加者にとどまらず、何らかの貢献ができる存在として心掛けるということである。これは何も難解な知識を必要としているわけではなく、イベントに際して”今の自分にできことをきちんと準備する”という心構えの問題だ。

たとえば、アメリカでは投資会社Allen&Companyが主催する「Allen&Company Sun Valley Conference」のように、厳選された経営層しか呼ばれないイベントがあったり、証券会社や投資ファンドが厳選した招待者しか参加できないカンファレンスは多い。そのような場に、単なる参加者や見物客として参加したならば、大きな恥をかくだけである。

日本にもそうしたイベントがないわけではない。「インフィニティ・ベンチャーズ・サミット(Infinity Ventures Summit、IVS)」は、招待制のオフサイト・カンファレンスで、インターネット、モバイル、ソフトウエアなどIT業界の国内外の経営者や経営幹部が参加対象である。主催者が審査を行い、参加の可否を判断し、役職や事業分野などを厳しく制限しているという。イベントでよく見かける、社長が出席できないため現場のの方による代理出席も、「社長や幹部でないと意味がない」とお断りしているそうだ。

2004年11月から年2回、東京以外の場所で開催し、2日間滞在する仕組みであり、カンファレンスには楽天・三木谷浩史会長兼社長、サイバーエージェント・藤田晋社長、グリー・田中良和社長ら日本のベンチャーシーンを引っ張る起業家が登壇し、それ以外にも海外からは中国最大のSNSであるレンレン(人人網)CEO、ユーストリームのCEO、さらにはフェイスブックに投資したベンチャーキャピタリストまで参加する。まさに世界の経営者同士の学びと交流の場になっている。(プログラムはこちら

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