赤字がなんだ!KDDI、ベンチャー育成の情熱 狙うはグローバル、支援プログラム「無限ラボ」の全容
ディー・エヌ・エー(DeNA)、LINEなどの注目企業が本社を構える渋谷ヒカリエ。その32階に、無限を意味する「∞」の形の照明が取り付けられたスペースがある。KDDIがベンチャービジネスを支援するために設けたプログラム「∞ Labo(無限ラボ)」の専用スペースだ。
無限ラボには、毎回100を超える応募から選ばれた4~5チームが3カ月間後のサービス完成を目指して奮闘する。審査は「選考段階のアイデアだけでなく、人柄やチームの総合的な開発力も重視している」と江幡智広ラボ長は言う。
卒業後はドコモやソフトバンクなどへのサービス提供も
KDDIが無限ラボをスタートさせたのは2011年6月。現在は第4期、社内の2チームを含む7チームが無限ラボに参加している。もともとのアイデアをゼロから立ち上げるケースやパソコン向けに展開していたサービスをスマホ向けに構成し直すケースなど、チームの開発状況はさまざまだ。開発の制限は非常に少なく、卒業後はNTTドコモやソフトバンクなど、他社へのサービス提供も可能となっている。
無限ラボを始める前から、KDDIは各種のサービス開発にあたり、数多くのベンチャーとかかわってきた。ただ、最近では、スマホ時代に突入し、世界中で同じスペックの端末が使われるようになってきたため、サービスを一気にグローバルに広げることが可能になってきた。実際、KDDIも国内だけでなく海外企業との連携が増えてきた。そこで、グローバルで通用するベンチャーを支援していこうと始めたという。もちろん、支援を通して付加価値サービスのノウハウを吸収し、KDDIの中核である通信事業とシナジーを生み出したいという狙いもある。
無限ラボによる支援は多岐にわたる。参加チームは最新OSや最新端末、クラウドサーバーの提供など、開発環境の支援が受けられる。チームと共に開発を進めるのはKDDIの若手を中心とした「メンター」(助言者)と呼ばれる社員たちだ。KDDIの社内リソースを最大限に活用できるように(○○のサービスなら○○の部署に協力を依頼しよう、など)チームに付きっきりで支援する。役員もプレゼンをチェックして直接アドバイスするなど、経営陣まで巻き込んだプログラムである。
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