赤字がなんだ!KDDI、ベンチャー育成の情熱

狙うはグローバル、支援プログラム「無限ラボ」の全容

田中孝司KDDI社長は赤字をむしろ“誇った”

KDDIの田中孝司社長も無限ラボに大きな期待を寄せている。前回、3期生のサービス発表会では「はっきりいいますが、赤字です。でもちょっとぐらいの赤字がなんだ。もっとおカネを使っていきます」とさらなる支援を約束した。田中社長はかつて、米シリコンバレーのスタンフォード大学に留学していたが、言語の壁や資金難などで新たなビジネスを立ち上げるには至らなかった。そんな苦い経験があるからこそ、若手育成にかける思いは誰よりも強いようだ。

江幡ラボ長は今後の無限ラボについて、グローバルな支援体制を構築していくと話す。「海外に進出してもうまく現地化できず、成功に至らなかったサービスは多い。無限ラボは当初からグローバルを目標にやってきたので、現地サポートまで含めてやっていきたい」

ドコモもベンチャー支援を本格稼働、協力も?

最近では、ドコモも同様の支援プログラム「ドコモ・イノベーションビレッジ」を4月から本格稼働させている。KDDIと異なるのは、シリコンバレーのインキュベーター「500startups」と連携する点だ。現地スタッフの招聘はもちろん、優秀なチームの米国留学も予定する。ただ、ドコモは特に差別化を進めるつもりはないという。「きれいごとと言われるかもしれないが、同じ方向を向いてやっていると思ってもらえれば。ドコモも海外をつねに意識できる環境を作っていく」(ドコモ・イノベーションベンチャーズ副社長の秋元信行氏)。

江幡智広ラボ長(左)と新規ビジネス推進本部の石井亮平氏

支援を通じてさまざまな付加価値サービスを開発することで、単に通信回線を売るだけの「土管化」を避ける。両社の課題や狙いは同じ点にあると言えるだろう。無限ラボのメンバーはサービス開始にあたってドコモビレッジにアドバイスを送るなど、どうやら協力する側面もあるようだ。将来的には両社が連携した取り組みがみられるかもしれない。

無限ラボ4期生のサービスお披露目は7月23日を予定している。現在、各チームはKDDI社内での最終報告を終え、プレゼンの仕上げなどに腐心しているという。はたして今回はどんなアイデアが飛び出すのか。

(撮影:今 祥雄)

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