赤字がなんだ!KDDI、ベンチャー育成の情熱

狙うはグローバル、支援プログラム「無限ラボ」の全容

無限ラボを卒業したOBチームも、講演やアドバイスはもちろん、プログラミング作業の一部を請け負うなど、後輩たちの開発に協力している。そのほか、社外のアドバイザーはグリー取締役の青柳直樹氏をはじめ、弁護士から大学教授まで、各分野の専門家が名を連ねる。

議論は活発に行われる

毎週木曜日は無限ラボの全チームが専用スペースに集まり、定例ミーティングが開かれる。各チームはサービス内容のプレゼンを披露し、同時に開発の進捗も報告する。江幡ラボ長をはじめ、各チームのメンターたちは「○○の作業が遅れ気味ではないか」、「デザインがわかりにくい」、「来週は○○に絞って作業したほうがいい」などと、具体的なアドバイスをしていく。チーム同士の議論も活発に行われている。

外部専門家によるサポートも

記者が訪れた日には、アプリ分野に詳しい弁護士も参加し、各チームにアドバイスを送っていた。「出会い系アプリと勘違いされないためにどうするべきか」、「免責事項はどこまで盛り込めばいいのか」さらには「社外弁護士を雇うタイミングは?」など、さまざまな質問が寄せられた。

ホワイトボードには議論の内容がギッシリ書き込まれている

ベンチャーはエンジニアが中心で開発に特化している会社が多いため、法律の知識などはどうしても後回しになりがち。こうしたサポートを加えることで、サービス開始後の思わぬトラブルを避けるのが狙いだ。「KDDIのメンターだけではなく、外部の専門家の方に積極的に協力してもらうことで、-細かな点もしっかりサポートしていきたい」(無限ラボを担当する新規ビジネス推進本部の石井亮平氏)。

これまで、無限ラボに参加した全チームが期間内にサービスを完成させ、KDDIのアプリ取り放題サービス「auスマートパス」(会員数600万超)などでデビューを果たしている。たとえば、元グーグル社員の2名が立ち上げたシンクランチ(ビジネスランチ交流サービスからスタート、現在は就活支援のコミュニティサイト)は無限ラボの1期生だ。11年8月の創業からわずか1年4カ月でイグジット(会社売却)に成功している。成果は上々と言えるだろう。

さらに、優れたベンチャーに対しては、KDDIが12年2月に設立した「オープンイノベーションファンド」(運用規模50億円)を通じて出資に踏み出すケースもある。オープンイノベーションファンドは無限ラボの延長上の取り組みと言える。特に決まっているわけではないが、事業策定期のベンチャーは無限ラボで育成し、サービス立ち上げ期の場合はファンドが独自で支援しているようだ。

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