世界との差は“劇的”に縮まっている
――世界のベンチャー、スタートアップシーンで活躍しているお2人から見て、現在の日本のシーンはどのように見えますか。
孫泰蔵(以下、孫):僕は、現在の日本のスタートアップシーンについては“ポジティブ”にとらえています。日本のスタートアップは、5年前に比べて、明らかに“層”が厚くなり、確実に“質”も上がっています。アメリカのいわゆるアクセラレーターと呼ばれる「Yコンビネーター」「500スタートアップス」などの「デモデー」で事業戦略に関するプレゼンテーションであるピッチを聞いても、ヨーロッパでのベンチャー関連のイベントの審査員を務めても、海外ベンチャーから「投資を検討してほしい」とプレゼンテーションを聞いても、日本のスタートアップの“質”はまったく遜色ない。
ただ、日本のスタートアップが「グローバル一歩手前」のように見えるのは、「日本で成功してから世界に出ていく」ことが常識になっており、まず日本語でサービスを作ってしまうところ。欧米やアジアの起業家は、自分たちの言語プラス英語が当たり前で、初めから世界を狙っています。
伊佐山元(以下、伊佐山):日本の現状は、“人”のクオリティも“アイデア”のクオリティも上がっています。ただ、“情報”だけが取れていない。たとえば、泰蔵さんの話にあるように、英語で作るのが常識だということが意外と知られていない。まず「国内から始めよう」と国内ばかり見て、国内を相手にしたほうが楽だとか、国内だけでもいけると思うのは、もったいない。もっともっとグローバルに情報をみたら、日本語で始めるより英語で始めたほうがいいものが結構ありますから。
ただ、5年前に比べると、泰蔵さんが始めた「モビーダ・ジャパン」のようなベンチャー支援ができ、若い起業家や起業家志望の人の中にもセンスがいい人が増えている。今、「Yコンビネーターでもいける」という人も出てきているのは、すごい進化だと思います。足りないのは、国内目線から世界目線にすることだけで、時間の問題だと思います。
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