裾野を広げ、狙うは「シリコンバレー超え」 10年で1000社への出資を目指すモビーダの戦略

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伊藤健吾・シード事業統括(左)と孫泰蔵社長
モビーダ・ジャパンは11月8日、出資先のスタートアップがデモを行うイベントを開催した。デモデイの開催はすでに4回目。「会を重ねるごとに質があがっていることに驚いている」と語る孫泰蔵社長は言う。しかし、「2030年までに東アジアにシリコンバレーを超えるようなスタートアップエコシステムを作り上げる」という大きな目標を掲げており、その実現に向けてはまだまだ課題が多い。イベントの合間に、孫泰蔵社長と伊藤健吾・シード事業統括に話を聞いた。

--ちょうど2日前、医薬品のネット販売が一部禁止されることに対し、楽天の三木谷浩史会長兼社長が強く反発した。日本は禁止事項を先に決める「オプトイン社会」。それに対し米国は「オプトアウト社会」で、この差が大きいと以前もおっしゃっています(Airbnb、Uber、Google carの共通点は?)。医薬品ネット販売への規制のあり方はまさに日本らしいオプトインの展開になっています。モビーダとして、政治に対して働きかけるようなことはやりますか。

 「ベンチャーの裾野を広げる」という活動は民間である私たちにもできます。起業のハードルを下げるということは、どんどんやっていきます。

でも、これまでの枠を超えるようなイノベーティブなものを生み出す土壌を作り出すためには、規制を緩和、撤廃しなければいけません。イノベーティブであればあるほど規制の壁にぶちあたっていくわけで、そのあたりは民間だけでは限界があると思うんですよ。立法府との連携が必要になると思います。規制があるからダメなんだ、と外野で単に文句ばかりを言っていても仕方がないので、具体的なことを議員の方、行政の方に提言していく必要があるな、と思い始めています。

海外へ行ってしまう事例も

--日本のベンチャーから「規制の枠を超えた提案」って出てきていますか。サーカスの象は小さい時から足を縛られているため、それが普通の状態だと思ってしまう、という話がありますが。

 あまりイノベーティブな提案はないかもしれません、正直に言うと。エクセントリックみたいなアイデアは海外で先に生まれることが多いように思います。

でも、面白い会社が海外に逃げていってしまう、ということもあると思うんです。モビーダが出資している企業ではありませんが、「WHILL」という車椅子を作るベンチャー企業のことを思い出しました。この会社はデザインを重視したかっこいい車椅子を作っているのですが、シンガポールあたりから販売を開始するそうです。なぜなら厚生労働省の規制では車椅子として認められないため、医療機関などが採用できない。つまり日本では売れない。仕方がないので海外で先にリリースするのだそうです。素敵だ、クールだと高く評価されているのにそれを日本で始められない。これは本当に残念だな、と思います。

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