スタートアップ界の“香川”は時間の問題
――世界と日本の差は縮まってきているということでしょうか?
孫:はい。僕は、サッカー日本代表を例に挙げることが多いのですが、Jリーグができる前は、「自分たちが生きている間にW杯に出ることはない」とみんなが言っていました。それが、Jリーグ発足から20年経った今、W杯に出るのは当たり前。日本代表の選手の半分以上がヨーロッパで活躍しているという信じられないくらいレベルがあがっていて、ベスト4を目指すという話も出ているくらいです。
現在の日本のスタートアップシーンは、Jリーグ発足当初の盛り上がりに似ています。これからたぶん、カズ(三浦和良)さんやヒデ(中田英寿)くんのような存在が出てきて、今の日本代表の香川真司選手がマンチェスターU、長友佑都選手がインテルといった一流クラブに移籍するクラスの起業家が出てくることも時間の問題です。
伊佐山:その感覚はよくわかります。投資家という視点で日本をみると、“変化”を強く感じます。
僕も、シリコンバレーのベンチャーキャピタルで働いていたときに、社内プレゼンで日本のベンチャーシーンの動きについて、スポーツ業界の動き(サッカー、野球、ゴルフなど)を引き合いに出しながら話していました(笑)。野球に例えると、今の日本のスタートアップは、まだメジャーリーグに行く人が出てきていない状況で、次は野茂英雄さんのような存在が出てくると、変わってくると思います。だから、1社でも世界で成功するベンチャーが生まれれば、一気に変わると思うのです。
孫:僕はそれで言うと、野茂さんだけでなく、新庄剛志さんのような存在も必要だと思います。野茂さんは、ドジャーススタジアムを大歓声にしたまさに“ヒーロー”で、目線を上にあげる、あこがれの対象の「カリスマ」という意味で重要でした。ただ、多くのメジャーリーガーが増えた功労者は、新庄さんでしょう。彼が行くことで、ある種、「あいつでもいけるのか!」という雰囲気が醸成されたのだと思います。
――世界との差が縮まったと言える象徴的なことは。
伊佐山:それこそソフトバンクが、シリコンバレー・サンカルロスにオフィスを開くことなんか考えもつかなかった。あんなに大きく目立つところにソフトバンク――と。その前にも、ハイウェー101号線(ワン・オー・ワン)に、グリーの人材募集の大きな看板広告が並んだのも衝撃でしたね。
ソフトバンク、グリー、ディーエヌエー、楽天(SNS「ピンタレスト」に出資)といった日本でベンチャー精神を持った企業が、次々とシリコンバレーに進出しているのが、世界との差が縮まっている象徴と言えるのではないでしょうか。
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