僕が日本に”シリコンバレー”を作る! モビータ・ジャパンの孫泰蔵CEOと語る(上)

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「明後日、シリコンバレー集合」というスピード感

――“情報”という観点が足りない日本のスタートアップシーン。どのようにすればいいですか。

:世界中の情報がインターネット経由でキャッチアップできると錯覚する人もいますが、「記事」はスタートアップにとって“情報”ではありません。今、記事になっている情報は、「現在」と「過去」しかない。もしかしたら「現在」ですらないかもしれない。たとえば、ベンチャー企業が画期的なサービスを作ったとか、1000万人のユーザーを抱えるようになったとか、10億円の資金調達に成功したという情報は、すぐに「過去」の出来事になっていきます。それくらいシリコンバレーは速い。

事実、シリコンバレーで起業家に会ってみると、もう記事は“過去の話”になっていて、「今、こんなものを作っているんだ」「次のファンディングで150億円調達しようとしてるんだ」「実はこういうことをやろうとしている」とか、「え~」と驚くような話が出てきます。こうした、絶対にメディアには上がってこない、直接会って聞く話のほうが“本当の情報”であり、重要な情報です。そして、“本当の情報”を得て、一緒にやらないかという話をして、自分たちがメディアに取り上げられるようなニュースを、創っていかなければいけないと思うのです。

伊佐山:確かに、泰蔵さんにフェイスブック経由でメッセージを送ると、いつも違う場所にいますよね。瞬間移動しているように見える(笑)。

:この2カ月で言うと、日本には半分くらいしかいないですね。ロンドン、ヘルシンキ、サンフランシスコ、タイ、シンガポール、台湾、福岡に行きました。ソフトバンクの孫正義社長から日曜日の深夜に電話がかかってきて、「火曜日の4時に、ミーティングがあるから来てくれ」と言われたので、「東京本社ですね、いいですよ」と返したら、「いや、マウンテンビュー(シリコンバレー)。日本を火曜日に発てば間に合うでしょ」と(笑)。そしたらシリコンバレーで話が盛り上がって「ヘルシンキに行ってこい」と。日本に戻る飛行機をキャンセルして、ヘルシンキに行き、ロンドンでも予定が入って、「(秘書から)いつ日本に帰ってくるのですか」「俺もわからない」という状態になっていました。

伊佐山:今、そういうスピード感とスケールで世の中を見ていかないと、世界では戦っていけない。それを実際にやっている、泰蔵さんや孫正義さんが成功していることを考えると、日本の経営者も規模や業種の違いこそあれ、そういうスピード感やフットワークの軽さを身に付けないといけないですね。今しかないチャンスに飛びつくのは、今までのようなやり方ではできないわけですから、「お供を何人も連れて出張」というのは古いですよね。

:実際、僕もひとりで飛行機のチケットを手配して、移動していますし、世界各地から打ち合わせに出席するので、現地集合が多いですね。

伊佐山:アメリカ映画みたいでいいですね。現地で仕事して、現地で解散する(笑)。

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