新大久保「おかわり自由500円カレー」の衝撃 ネパール版定食「ダルバート」とは?

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「日本でネパールの新聞はうちだけなので、大使館やネパールの有力者ともつながっていますし、ネパールの有名人が来日する際は、まずうちに相談がきます。広告の依頼に関しても、IT企業から行政書士、送金会社、ポケットWi-Fiの会社まで、ありとあらゆるところから話がきます。

ほかにも引っ越したいとか、お店を開きたいなどと相談しに来る人も多い。こうしてさまざまな情報が入ってきては、それをまた発信していく。そういう所には、必然的に人がどんどん集まってきます」

ワンコインでかなう「異国体験」

もともと新大久保界隈には外国人向けの日本語学校が多いという下地もあった。こうして、現地新聞を情報ハブとしながら、新大久保のネパール人コミュニティは大きくなっていく。2013年には、在留ネパール人の子どもたち向けの学校が阿佐ヶ谷に設立されたこともあり、ここ3年ほどで新大久保の「リトルカトマンズ化」は加速度的に進み、今や在日ネパール人にとって新大久保はあこがれの地であるという。

「多くのネパール人が、『自分もいつか新大久保にお店を持ちたい』と夢見ています。それくらい新大久保に店を出すというのはステータスであり、同胞の間で誇れることなんです」(マッラ氏)

韓国タウンのイメージが強いが、アジア各国の料理店が目立つ新大久保(撮影:今井康一)

新大久保のネパール料理店は、アジアの国々でよく見られるような古めかしいディープな佇まいが多い。日本人の感覚からすると、時が止まっているかのようにも見える。表向きは両替店や食材店なのに、実は奥にレストランが隠れているという立地の店もある。

勇気を出して店に入り、着席する。周りの席をネパール人客がどんどん埋めていく。そこに運ばれてくるのは、日本人向けのアレンジがまったくされてない本格仕様のダルバート。そんな現地感あふれるプチトリップが、パスポートなし、500円で体験できる。新大久保以外に、そんな場所はまずないだろう。

田嶋 章博 ライター、編集者

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たじま あきひろ / Akihiro Tajima

取材ライターとしてビジネス系記事やオウンドメディアの記事を、カレーライターとしてカレー関連記事を執筆。ポートフォリオサイトはこちら。ツイッターアカウントは「@tajimacho」

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