新大久保「おかわり自由500円カレー」の衝撃 ネパール版定食「ダルバート」とは?

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では肝心の味はどうか。これが日本人にもしっくりくるのだ。味付けはネパール現地のものにできるかぎり近づけられていて、日本の家庭のカレーとは違うエキゾチックなスパイス感を味わえる。とはいえ一般的なインド料理よりは油やスパイスが控えめで、塩とニンニクでシンプルに味付けしたものが多い。だから一見ディープながら、日本人でも意外と取っつきやすい。

まずはダルスープ、カレー、タルカリ(野菜のスパイス炒め)、アチャール(スパイシーな漬物)といった各品を1つずつごはんと合わせて味わう。その後、好みのものを複数ごはんと混ぜ合わせてハーモニーを楽しむ、というのがオーソドックスな食べ方だ。味付けがシンプルなだけに、塩気とスパイスが前面に感じられ、うま味が口の中にジュワッと広がる。

在日ネパール人の数は10年で6.4倍に

本格派のダルバートがおかわりフリーで500円で食べられるというのは、もはや革命的と言っていい。しかし、なぜこんな破格の定食が新大久保で増えているのか。それには、近年この地域を中心に在日ネパール人が急増していることが背景にある。

法務省の統計によると、2007年に日本在留ネパール人の数は1万1556人だったが、2017年には約6.4倍の7万4300人にまで増えている。急増した理由はいくつかあり、日本で唯一のネパール語新聞『ネパリ・サマチャー』の編集長、ティラク・マッラ氏はこう話す。

日本唯一のネパール語新聞『ネパリ・サマチャー』編集長のマッラ氏

「まず大きいのが、ネパール人留学生の数が大きく増えたこと。2011年に東日本大震災が起こり、中国や韓国の在日留学生の多くが母国に引き揚げました。困った日本語学校は、代わりにネパール、ベトナム、ミャンマーといった国々の学生を積極的に呼び込んだのです。また、こうしたアジアの国の人々に対する日本のビザが緩和されたのも大きな要因となりました」

日本語学校だけでなく、少子化に悩む日本の専門学校や大学がこうした国の学生に門戸を開いたのも、在日ネパール人の増加を後押しした。さらに、「以前は単身で在留する人が多かったのですが、近年は家族や親戚ぐるみで在留する人がかなり増えています」とマッラ氏。

在留ネパール人の増加が特に顕著なのが、そう、新大久保だ。新大久保のある新宿区の住民基本台帳によると、在留ネパール人の数は2008年5月1日に485人だったのが、2018年5月1日現在で3861人にまで増加している。

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