注意!妊婦には食べすぎていけない魚がある 水銀が子供の発達に悪影響を与えるリスクも
妊婦の情報源は、母子健康手帳、病院の医療従事者、居住地の自治体による妊婦教室(プレママ教室など)、妊婦向け雑誌やウェブサイトなどである。妊娠期間中は定期的に通院し、必要に応じて医師や看護師からの食事指導を受けるが、水銀リスクに焦点を絞った形での情報提供が行われているとは考えにくい。
母子健康手帳を通じた発信の必要性
一方、母子手帳はすべての妊婦が手にする公的な情報源である。
女性は妊娠し胎児の心拍が病院で確認されると、母子保健法に基づき、自治体に届けを出し、母子手帳を受け取る。なお母子手帳は、厚生労働省令による「全国共通部分」と、自治体の独自の制度などを反映させることができる「任意様式部分」に分けられる。
厚生労働省の推奨により、2007年以降は魚食によるメチル水銀摂取にかかわる注意喚起が母子手帳の任意様式部分に記されるようになった。母子手帳の多くは民間の事業者が作成し、どれを採用するかは自治体の裁量であるため、特に任意様式部分にはデザインや表現などの差が出やすい。複数の自治体から母子手帳を取り寄せてみたところ、表現の違いはあるものの、多くの場合「妊娠期間中の食事について」等の食事指導欄に次のように記載されていた。
しかし、この文言だけでは、どの程度のリスクなのか、魚介類の一部とは何か、どのくらい食べたらいいのか、あるいはどのくらいに抑えるべきなのか、よくわからない。
「母子健康手帳」は日本が発祥であり、その歴史は長く、国から妊婦に大切な情報を直接伝えることのできる「公的メディア」としての役割は大きい。最近ではスマートフォンの普及により、「母子手帳アプリ」を提供する自治体も増えており、様式が多様化している。
スマートフォンを多用する若者世代には大変便利である。しかし小さな画面の中の情報は、紙媒体とは異なり、自身が必要な情報をパラパラとめくって探し当てることが難しい。ある母子手帳アプリでは、妊婦への注意喚起はトップページにはなく、何度もクリックして見つけ出す必要がある。
日本には法的に制度化された母子手帳があるのだから、ここに魚種と魚量を明記し、週内の食事コントロールの方法を具体的に記載することは、必要なことなのではないか。水銀摂取のリスクについて記載されるようになった2007年以降においても、妊婦の認知度が低いのは、そのリスクの伝え方に問題があるからではなかろうか。妊婦に必要な情報を、正確かつわかりやすく伝える方法にはまだまだ検討の余地がある。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら