「実家暮し独身」が30年で3倍超になった理由 低所得と介護離職が親元未婚を加速させる

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未婚者数が最も増加したのは、40~44歳男性、続いて35~39歳男性。つまりアラフォー男子の未婚者数がこの35年間で激増しているのです。一方、女性は25~44歳にかけてほぼ同人数未婚者数が増えています。これは、女性の大学進学率の上昇とその後の晩婚化・非婚化の影響が大きいと思われます。いずれにせよ、男女とも35~44歳のアラフォー世代の未婚者が全年代でいちばん増加しているということになります。男女合計で約370万人の未婚者がこの年代だけで増加しており、これは全年代の未婚者増分の約4割を占めます。

単身未婚と親元未婚

未婚の独身者というと、一人暮らしをイメージしがちですが、未婚者には単身未婚と親元未婚という2種類が存在します。親元未婚とは、親と同居する未婚者を指します。総務省統計研修所の西文彦著「親と同居の未婚者の最近の状況」というレポートから、親元未婚の状況についてご紹介していきます。

2015年時点で、未婚者のうち20~50代の親元未婚者は男女合わせて約1430万人。未婚者人口全体に占める割合は68%と約7割の未婚者が親と同居しています。20代前半ならば学生や低所得のために親との同居はやむをえないでしょう。しかし、アラフォー世代であっても、親元未婚者数は男182万人、女126万人の計308万人。アラフォー前未婚者のうち約65%が親と同居しているのです。人口比にしても17%ですが、決して低い数字ではありません。1980年の4.9%と比較すれば3.5倍増になります。

次に、男女別親元未婚の経年推移を、アラフォー人口に対する未婚率で見てみましょう。

男女とも1980年代は、親元未婚より単身未婚のほうが多かったのに、生涯未婚率が急上昇を始めた1990年代から逆転しています。現在は、男女とも差分で親元未婚が20%程度上回っています。実数では1980年からの35年で単身未婚は98万人増であるのに対し、親元未婚はなんと約3倍の270万人も増えているのです。

特筆すべきは、親元未婚の比率がずっと右肩上がりであるのに対して、単身未婚は男女とも2010年から2015年にかけては下降していることです。単身未婚率は下がっているのに全体のアラフォー未婚率が上がっているのは、親元未婚のせいなのです。

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