福岡で学童保育を運営するIT企業が目指す先 IT化が進む中、子どもにつけておきたい力は

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――「機械に仕事を奪われる」という考え方は、どう思われますか?

人がやらなくていいことを機械が代わりにやってくれるわけで、まったく悲観しなくていいんじゃないかな。機械化が進むと、人はやるべきことから解放されて自由になり、クリエーティブな力を発揮するチャンスが増える。何かをしたいと思ったら、人に伝えるためにコミュニケーション力が大切です。好きという気持ちから始まって、情熱、クリエーティビティ、対人関係など、本来の人間らしいことが重視されてくるでしょう。

子どもも大人も、時代の進化に気づいてちゃんと認めることが第一歩。世の中は意外とシンプルで、何より行動がすべてだと私は思っています。

――AIの活用が進む中で先日、自動運転の車が起こした死亡事故がニュースになりました。AIでも失敗をするのでしょうか?

もちろんAIに想定できないこともあります。たとえば、あの事故は暗くて想定外のところで起きてしまった。改善するにはどんなデータが必要なのかというのは、人が考えなければいけない。AIは人に与えられた環境でしか学習できないのだから。

子どもは好きなことを見つければ自ら学ぶようになる

――将来を見据えて、TECH PARKで目指していることは?

高学年の子どもたちは、自分でプログラミングした車を走らせていた。業界の第一線で働く社員がTECH PARKで教えることも多い(筆者撮影)

一人ひとりの好きなことや才能を見つけて、伸ばしてあげたいと思っています。これまで100以上のワークショップをやり、コンピュータに触れることも多かった。

たとえば、デザインしたり、絵を描いたり、音楽を作ったり、映像を作ったり。コンピュータはプログラミングだけじゃなくていろいろなことができる。自分がやりたいことを実現してくれるツールのひとつとして認識し、自然に使い方を身に付けてくれればと思っています。

子どもは最初から学びたいわけじゃない。遊ぶ中で好きなことを見つけて、遊びに学びがついてくる。たとえば、映像が好きになったら、ストーリーを考えるために国語や英語の力がついてくるとか。

――子どもたちと接してきて、どんなことを感じていますか?

最初の体験会のとき、プログラミングを2時間で教えたら、早く終わる子がいた。それで、次は最初に使い方だけ教えて自由にさせてみたら、みんな40分で終わった。子どもは大人が思っている以上に能力があって、もっとやりたいと思っているのだと驚き、変に子ども扱いしないと決めました。

私たちは子どもの一人ひとりの個性を潰さないように、子どもが主体的にやっていくのをサポートしています。子どもだって、新しいことをするときは勇気がいる。大人も子どもを信じてやらせてみる勇気が必要。勇気には勇気で応えてあげたいですね。

――最後に、小学校でプログラミングが必修化されることについてどう思いますか?

必修化したからって全員がプログラマーになるわけではなく、やっぱり好きな人しか残っていかないと思っています。ただ、母数が増えることはいいことかもしれませんし、身の回りの事象を知ることはこれから必要ですよね。プログラミング思考というけれど、それだけでは世の中の問題は解決できない。子どものうちからITやテクノロジーに親しみ、決して振り回されず、道具として使いこなすという感覚を身に付けてほしい。そして、社会のさまざまな課題を解決できると伝えていくことが大切だと思います。

佐々木 恵美 フリーライター・エディター

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ささき えみ / Emi Sasaki

福岡市出身。九州大学教育学部を卒業後、ロンドン・東京・福岡にて、女性誌や新聞、Web、国連や行政機関の報告書などの制作に携わる。特にインタビューが好きで、著名人や経営者をはじめ、様々な人たちを取材。

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