福岡で学童保育を運営するIT企業が目指す先 IT化が進む中、子どもにつけておきたい力は
――まさにITと子ども教育の現場にいらっしゃるのですね。
IT教育について専門家がいろいろ発言されていますが、私は専門家ではありません。ただ、ITやテクノロジーにかかわる仕事をしていて、社会の方向性が見えるので、未来を意識した場づくりをしています。
――そもそも佐々木さんはテクノロジー(科学技術)をどう定義していますか?
テクノロジーは、世の中を便利にするツールのこと。
たとえば、アメリカでゴールドラッシュのとき、金を掘るための道具ができて、破れにくく作業しやすいズボンとしてリーバイスのジーパンが登場し、それを大量生産するための技術が生まれて……というように、工具も服もペンもコンピュータもテクノロジーで、世の中を便利にしようと広がってきた。
いろいろな使い方ができるツールなんですよ。身近にどんなテクノロジーがあるか、まずは意識してみるといいですね。
最近、脚光を浴びているシェアリング、仮想通貨・ブロックチェーン、クラウドファンディング、SNSなどの新しい文化も、テクノロジーで支えられている。
データに基づき、見ず知らずの人と信頼を構築して、国や宗教や時代を軽々と越境するテクノロジーは、みんなのもの。それを工夫して使っていくことが大切なんです。
「Apple Accessibility」というサイトをご存じですか? 障害のある人でもどんな人でも、テクノロジーによって社会にコミットできると表現していて、すばらしい取り組みです。こういう世界観を次世代の子どもたちに伝えていきたいと思います。
技術の進歩により人が持つ能力の価値が変わる
――IT化が進む中で、社会はどのような方向に進んでいくのでしょう?
これまでの社会は、企業や政治などの情報がメディアを通して一方的に伝達され、統一化された仕組みに人が合わせてきました。
でも、今は誰もが情報を発信できるようになり、リアルタイムで世界中のことがわかり、双方向で情報を共有できる。さまざまな人の声が表面化して、サイレントマジョリティも見える。#Me Tooもそのひとつ。これまでの常識が非常識になってコンフリクト(衝突・矛盾)を起こし、混沌としていますよね。
これからは、多様化・複雑化するニーズに合わせてサービスを作ることが求められていく。そして、個性や人間らしさがより大切になると私は考えています。あなたの価値観、あなたは何ができるかという個性が重視される社会になっていくんじゃないでしょうか。
――技術の進化によって、大切なことも変わってくると。
これから価値が下がるのは、「暗記力」「ルーチンワーク」「言われたことを言われたとおりにやる能力」「分析力」「答えのある問題に対する正解能力」「ロジカルシンキング」「語学力」など。なぜなら、すべて機械がやってくれるからです。
――どれも日本の教育で重視されてきたことのような気がします……。
そうなんです。反対に価値が上がっていくのは、「コミュニケーション力」「未知の事例への対応力」「創造力」「想像・発想力」「センス」「好きだという気持ち」「ファシリテーション」あたりだと思います。
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