結局、ハリル監督は3年で何をもたらしたのか デュエル主体のサッカーでやりたかったこと

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酒井高徳(ドイツ・ハンブルガーSV)がイェウヘン・コノプリャンカ(ドイツ・シャルケ)に1対1で突破され続けた2018年3月のウクライナ戦(ベルギー・リエージュ)などは「デュエルで勝つ」という大前提が失われた最たる例だろう。個のバトルで勝てなければ、ハリル監督の理想とする戦いは成り立たない。その矛盾が終始、チームに横たわっていた印象がどうしても拭えない。

デュエルの勝率というのは、現代サッカーにおいて極めて重要な要素だ。ボスニア人指揮官もUEFAチャンピオンズリーグのビッグマッチをしばしば引き合いに出し、デュエルで上回ったチームの優位性を説明していた。

自身が指揮を執り、ラウンド16で王者・ドイツを追い詰めた2014年ブラジルワールドカップのアルジェリア代表も、デュエルの強さは際立っていた。その大切さを日本サッカー界に植えつけたのはハリル監督の大きな功績。そこは選手も認めている点で、われわれもリスペクトすべきところだ。

日本人とアルジェリア人の決定的な違い

とはいえ、長友佑都(トルコ・ガラタサライ)が「アルジェリアの選手は身体能力が高いので、監督が求めるデュエルの部分とか、タテに速いサッカーは日本よりやりやすかったと思う」と話したように、体格的に小柄な日本人はフィジカルコンタクトの部分で劣勢に回りがち。

そういうチームがデュエル重視のスタイルを第一に掲げるべきだったのかという疑問は残る。「日本人は個の部分で勝ち切れないから、組織力や協調性の部分でカバーする」という考え方で長年、強化が進められた日本サッカー界にしてみれば、難しさや違和感はあったかもしれない。

4月9日の会見で、ハリル監督の解任に至った経緯を説明する日本サッカー協会の田嶋幸三会長(編集部撮影)

ボールをあまりつなぐことなく、タテへタテへという意識を前面に押し出すという攻撃も、日本らしさを失わせたきらいはある。

田嶋幸三日本サッカー協会会長も4月9日の会見で「私としては、日本らしくしっかりボールをつないでいくサッカーを志向してほしい」とコメントしていたが、そこを棚上げにしたかのように見えたハリル流への批判は避けられなかった。

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