結局、ハリル監督は3年で何をもたらしたのか デュエル主体のサッカーでやりたかったこと

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2017年11月の親善試合を前に会見で話すハリル監督(写真:REUTERS/Pascal Rossignol/File Photo)

順調に見えた船出に暗雲が立ち込めたのが、2015年6月のロシアワールドカップ3次予選初戦・シンガポール戦(埼玉)のスコアレスドローだった。

シュート数で圧倒しながら決め切れず、勝ち切れなかったこの1戦でハリル監督は非常にナーバスになる。続く8月の東アジアカップ(中国)でも過去最低の最下位に終わり、徐々に言い訳じみた発言も増えていく。

「体脂肪率12%以下」を徹底させたり、長時間ミーティングを繰り返して選手を疲弊させるような管理体制にも不満の声が聞こえてくるようになった。アフガニスタン、カンボジアといった格下相手に苦戦した3次予選の頃から、すでに不穏な空気が代表チームに漂い始めていたのは確かだ。

ハリル監督の方向性に疑問や違和感が広がる

2016年9月に最終予選に突入し、初戦のUAE戦(埼玉)を1-2で落とすと、日本はさらに混迷を深める。山口蛍(J1・C大阪)のロスタイム劇的決勝弾で勝ち切った同10月のイラク戦(埼玉)後には、本田圭佑(メキシコ・パチューカ)が「もっとマイボールにできれば、こんなに難しい試合にはならなかった。ホントは相手が焦(じ)れるくらいやりたいけど……」と主導権を握られるスタイルに異を唱えるなど、選手の中ではハリル監督の目指す方向性への疑問や違和感も広がり始めた。

2017年を迎えると、久保裕也(ベルギー・ヘント)や井手口陽介(スペイン・クルトゥラス・レオネッサ)ら若い世代の台頭もあってチーム活性化が進み、最終予選突破には何とかこぎつけた。しかし、冒頭のとおり、予選突破後はまったくと言っていいほど勝てなかった。「世界で躍進するために、デュエルと速い攻めをベースにしたサッカーを突き詰めている」というのがハリル監督の言い分だったのだが、肝心のアジア以外の試合で成果が出ないのだから、選手側が疑心暗鬼になるのも理解できる。

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