エビデンスなき「糖質制限」論争は意味がない 「科学的」かつ「医学的」な正しさが求められる
医学的に正しいとはどういうことか
まず、間違ってはいけないのは、医学は科学だということです。科学的な根拠のない主張や治療法は当然、「正しくない」わけですね。
でも、科学的ならば何でも医学的に正しいかと言うと、そうではありません。たとえば、『週刊新潮』さんが記事の根拠にしている「マウスに糖質制限食を与えると老化した」という結果は、マウスという動物に関する科学としては「正しい」かもしれませんし、価値も認められる可能性がありますが、ヒトにおいては決してエビデンスにはならないわけです。
医学においてヒトのエビデンスとして認められるのはヒトの研究だけということが、基本ルールなのです。
ここに誤解のタネがあります。
「医学研究としてマウスを使った動物実験が普通に行われているじゃないか。あれを正しくないと言うのか」
そう反論する人がいるからです。しかし、動物実験は、医学的にはあくまでも参考としての意味で行われていて、その結論をヒトについてそのまま当てはめることはしません。
では、なぜ、人間の病気や健康についての結論を得られないのに、動物実験をするのでしょうか。
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