スマホ契約問題、新たな火種は「半額iPhone」 「レ点商法」は改善も、消費者保護に懸念残る

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キャリアの通信契約は2年間継続するのが原則で、途中で抜けると違約金などが発生するプランが主流だ。ただ、総務省が手放しで是認してきたわけではない。2015年には、2年拘束だけを議題にした検討会が開かれたほどだ。

当時は2年間の契約終了直後の1カ月間(25カ月目)のみ、違約金を払わずに他社に移ることができた。26カ月目以降は契約が自動更新されて再度2年拘束が発生していた。これに不満を持つ利用者も多かったため、検討会の指摘を受けた後、猶予期間が25カ月目と26カ月目の2カ月に増えたり、契約期間の縛りのないプランもできたりしている。違約金は現在、9500円に統一されている。

長期の過剰拘束は競争を妨げるおそれ

長期の拘束が望ましくないのは、消費者の将来の選択を狭めるだけでなく、囲い込みが健全な競争を阻害するためだ。KDDIとソフトバンクは「48カ月払いは強制ではなく、利用者に選ぶ自由がある」(広報)などと説明する。だが、通信に詳しい野村総合研究所の北俊一氏は、「(今回のiPhoneの販売プランは)2年縛りの違約金と比べ物にならないくらい、ロックイン効果が強い。4万~5万円の残債請求があれば、簡単には他キャリアにスイッチできない」と批判する。

総務省によると、今月下旬に最終回を迎える「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」で、このiPhoneの48カ月払いも議題にも上がっているという。是正を求める提言が入れば、iPhoneを安く買いたい利用者にも影響が出る可能性もあり、議論の行方が注目される。

奥田 貫 東洋経済 記者

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おくだ とおる / Toru Okuda

神奈川県横浜市出身。横浜緑ヶ丘高校、早稲田大学法学部卒業後、朝日新聞社に入り経済部で民間企業や省庁などの取材を担当。2018年1月に東洋経済新報社に入社。

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