楽天が「携帯キャリア」に参戦できる深い理由 「菅官房長官に何度も迫っていた」との話も
「楽天が携帯キャリア事業への新規参入をもくろんでいるらしい」「三木谷浩史会長兼社長が、菅官房長官に『電波を割り当ててくれ』と何度も迫っているようだ」――。複数の通信業界関係者によれば、こんなうわさが数カ月前から飛び交っていた。
ただし、「それは5G(次世代移動通信の第5世代携帯電話システム)が始まる2020年以降とまだ先のことだろう」と皆、高をくくっていた。
だからこそ、楽天が12月14日、「4G(現行の第4世代携帯電話システム)でNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクに続く第4の通信事業者を目指す」と表明したことは、業界関係者の度肝を抜いた。大手3社が設備投資を終えている4Gに今さら参入しても、太刀打ちできるわけがないからだ。
野田聖子総務相は楽天を牽制
総務省はどう見ているのか。かつては第4の通信業者の登場を待ち望んでいた。だが、自ら育成してきた格安スマホの「MVNO(仮想移動体通信事業者)」がユーザー数シェアで1割弱を占めるようになった今でもなお、楽天の申請を心から喜んでいるのかどうかは不明だ。
「MVNOを引き続き育成したい総務省にとって、第4の通信業者の出現は迷惑」という声もあれば、「MVNOが淘汰される時代に入り、経営破綻したMVNO・フリーテルの国内通信事業を買収するなど、MVNOの買い手に回ってくれた楽天に総務省は感謝している。今後は通信業者として、破綻MVNOの受け皿となることを期待しているのでは」という声も通信業界内にはある。
楽天の発表から一夜明けた12月15日。閣議後の会見で野田聖子総務相は、「公共電波を割り当てる以上は、都市でも過疎地でも同じサービスを受けられて、安価に使っていただける不断の努力を続けなくてはいけない」と注文をつけた。
また、「通信(料金)は相当、これまでも(既存の通信業者が)努力をして下がっている」と、総務省のこれまでの通信料金引き下げ努力を評価したうえで、「津々浦々の国民に高品質のサービスと、使いやすい料金体系を(提供するように)求めていきたい」と全国一律のサービスが大事であることを重ねて強調した。
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