スマホ契約問題、新たな火種は「半額iPhone」 「レ点商法」は改善も、消費者保護に懸念残る
総務省側が目を光らせるのには、理由がある。販売店とキャリアの関係に加え、スマートフォンの契約形態や料金体系が「わかりにくい」と思われているためだ。総務省がまとめた2016年7月~2017年3月の調査では、大手キャリアに関する苦情や相談の内容のうち、「料金支払い(身に覚えのない請求等)」が約3割を占めトップで、オプションへの苦情も多いという。総務省の消費者行政第一課の担当者は、「スマホの契約にはたくさんの項目があり、代理店での短い説明では理解しきれない利用者もいるのでは」と話す。
フィーチャーフォン(ガラケー)の生産終了に伴い、今後スマホに移行してくる高齢者の増加も想定される。総務省の調査によれば、苦情や問い合わせの年代別の割合では60代以上が34%を占めており、利用者数の割に比率が高い。こうした背景もあり、ライフラインとなったスマホなどの携帯の契約には、より丁寧な説明が求められている。
「iPhone半額」のカラクリと思惑
ただ、携帯販売をめぐる問題はこれだけではない。「今後、苦情が殺到するのではないか」。別の総務省関係者は、昨秋始まったある契約手法を強く懸念している。
「iPhoneを実質半額で買えます」。KDDIの「アップグレードプログラムEX」と、ソフトバンクの「半額サポート」という、iPhoneの販売プランだ。キャリアが指定するiPhoneを買う際に端末代金の48カ月払いを選択でき、25カ月目以降にキャリアを変えずに別のiPhoneへ機種変更すれば、未払いの代金が免除されるというものだ(それまで使っていた端末の返却が必要)。
だが、もしほかのキャリアやMVNOの格安スマホに乗り換えれば、たちまち”残債”が降りかかることになり、高額請求のおそれがある。総務省関係者は、「契約時は単に半額という言葉に惹かれて決めた利用者もいるはず。通信の2年契約が終わり、他社への乗り換えを検討する人が出てくるタイミングで問題になりそうだ」と気を揉む。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら