失恋で泣いている若手社員への正しい対処法 深入りせずにさらっと流せば良い
さらに、「出生動向調査」(国立社会保障・人口問題研究所)によれば、1982年から2015年にかけて「異性の恋人がいる」という男性は、22%(1982年)→22%(1987年)→26%(1992年)→26%(1997年)→25%(2002年)→27%(2005年)→25%(2010年)→21%(2015年)と、ほぼ変わりません。百歩譲って、若者の低所得化や趣味の多様化等々の背景から、実数としての恋愛経験は減っているのが事実だとしても、その制約条件がクリアできれば、結局は我々オッサン世代と変わらない、恋愛に対する関心があるのではないでしょうか。
さて、そんな中、タイトルのようなことを職場の20代に言われたら、「若者恋愛離れ論者」のオッサンは、「おうおう、草食男子が慣れないことをするから、ドツボにはまったんだな。どれどれ、俺の豊富な恋愛経験から、ひとつアドバイスでもしてやるか」などと思うことでしょう。しかし、それはきっとやめたほうが良いでしょう。オッサンたちは、「若者は恋愛に臆病」などと思い込みたいのでしょうが(それで「勝った」と思いたい)、おそらくそれは高い確率できっと妄想です。時代遅れの恋愛テクニックなどを披露しても、表では神妙な面持ちでうなづいていたとしても、あとから裏で笑われるだけです。
別に若者はオッサンに人生の師、恋愛の師としてアドバイスなどを求めてなどいません。こういう発言が出るのは、以前なら「プライベートを仕事に持ち込むな」と言われていたのが、ワークライフバランスとか、働き方改革の風潮の中、「プライベート>仕事」となってきている昨今では、プライベートが理由で仕事に支障をきたしているということを言いやすい社会になったからではないかと思います。「育児や介護があるので、ワークスタイルをこう変えて欲しい」とか「ペットが病気だから仕事休みます」というのと同じ根っこのものです。若者にとっては、失恋も風邪も同じようなものなのでしょう。
若者の恋愛に役立てるオッサンはいないと自覚せよ
ご家族の病気など、家庭の事情で仕事に影響が出た場合、「それはどんな病気?」「深刻さの度合いは?」などと聞くのは憚られますよね。プライベートな問題は、それで「仕事を休む」と言われたとしても、必要以上には深入りしてはいけないというのが暗黙の了解です。例え、それが嘘かもしれなくとも、「身内に不幸があった」と本人が言っているのに、「それは本当か?」と疑うような目を向けるのはNGでしょう(本当なら極めて失礼な話ですし)。
「失恋して仕事が手につかない」と言ってくる職場の若者への対応も、同じです。オッサン世代の感覚からすると、「失恋した」と言ってくれるからには、上述のように「もっといろいろ聞いて欲しい」と誤解しがちですが、違います。けして、「どんな彼女だったんだ?」「どれくらいひどい失恋だったのか?」などと、根掘り葉掘り聞くと、「人のプライベートに土足でズカズカ入ってくる、デリカシーのかけらもない人だ」と非難されてしまうでしょう。ですから、「ああ、そうなんだ。大変だったね。休まなくても大丈夫か」などと、サポーティブな雰囲気は維持しつつも、深入りせずに流せば良いのです。そして、「今は、ちょっと負荷をかけないがいいんだな」と念頭において、仕事の割り振りを考えたりすれば良いだけです。くれぐれも、「俺の出番だ」などと思わないで下さい。若者のプライベートに役立てるオッサンなど、今どき、ほとんどいないのですから。
1995年 京都大学教育学部心理学科卒業後、株式会社リクルートに入社し人事部に配属。以後人事コンサルタント、人事部採用グループゼネラルマネジャーなどを経験。その後ライフネット生命保険株式会社、株式会社オープンハウスの人事部門責任者を経て、2011年に同社を設立。組織人事コンサルティング、採用アウトソーシング、人材紹介・ヘッドハンティング、組織開発など、採用を中核に企業全体の組織運営におけるコンサルティング業務を行っている。
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