自画像のいちばん左には、「日本最古の禅寺である聖福寺の仙厓」という言葉が書き入れられている。仙厓の作品の中でも、特に強いメッセージを込めたものに入れられているそうだ。
こんなエピソードもある。格式の高い寺に入ると、お坊さんは紫色の衣を着ることが許される。仙厓の元にも、京都の本山、妙心寺から、紫の衣を着てよいという知らせが届いた。
しかし、着るためには“上納金”を収めなくてはならない。衣のためにおカネを使うなら、もっとほかに使い道がある。そう考えた仙厓は、弟子たちが修業するお堂など、当時、傷みが激しかった聖福寺の修繕費におカネを使った。紫色の衣を着ないかという誘いは3回あったが、すべて断り、墨染の衣の僧として一生を過ごしたという。
これぞ、堪忍
さて、こちらの柳はしなやかに風をやり過ごし、強風に耐えている。「辛抱していれば、必ず風のやむときがくる」というメッセージだ。
「仙厓は、人が普通は見過ごすようなところに教訓を見いだしました。感受性の豊かさ、鋭い感覚がありました」
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