東京の人気ラーメン店が採る地域集中の勝算

街と店のイメージ重ね、ブランドをつくる

こうして2011年9月に「中華そば ムタヒロ」がオープンした。修業先である「凪」の煮干ラーメンのコンセプトをベースに、独自のアレンジを施して仕上げた「ワハハ煮干そば」が自慢のお店だ。それから1年経ち2012年9月、今度は北口に2号店「鶏そば ムタヒロ」をオープン。1号店で好評だった限定メニューをスピンオフして出店した。

「南口と北口では商圏が違うなと思ったんです。なかなか駅をまたいでまで食事に行かないよなと。若干お客が割れてしまうかなという心配もありましたが、1号店と同じぐらいの売り上げが立ちました」(牟田氏)

人に取られる前に出店を決めた

2号店は駅から早稲田実業学校への通り道でもあり、学生客が多く集まった。2号店を出すことでムタヒロ自体のファンも増えたという。それから3号店を2013年6月に出した後、2014年6月、1号店の隣に4号店「串あげ ムタヒロ」をオープンした。「本店の真隣ということで、人に取られる前に出店を決めました。大家さんも優先的に案内してくださったんですよね。4号店で飲んでから隣で締めのラーメンが食べられるという構造を作りました」(牟田氏)。昨年11月には「ラーメン ブタヒロ」もオープンした。

四谷エリアに3店舗を集中している「灯花」グループ(筆者撮影)

「灯花」グループが四谷に出した1店目が2012年6月にオープンした「塩つけ麺 灯花」(現在は「吟醸煮干灯花紅猿」)。都心で低額で出せる店舗を探していたらたまたま出てきた物件だったそう。居抜きでオープンし、200万円以下という超低予算での出店だった。

「灯花」は当時、塩を使ったラーメンにこだわっており、2店舗目に鯛を使った塩ラーメン「鯛塩そば 灯花」をオープンする。2015年4月のことだった。1号店から目と鼻の先の出店にラーメンファンは驚いた。「スタッフ育成のために目の届く範囲で出店していきたいというのがありました」。店主の川瀬裕也氏は話す。

2016年11月には駅の反対側に「京紫灯花繚乱」をオープン。この店舗の2階にセントラルキッチンを作り、3店舗分のスープを炊いて各店に運んでいる。ドミナントでお店が近いのでスープも新鮮なまま運べる。

「お客が食い合うことはあまり考えていなかったですね。ほかにもたくさんお店はありますし、3店舗の業態を変えています」(川瀬氏)

都心でドミナント戦略を採った各ラーメン店の事情はさまざまながら、一定の成功を収めているケースが少なくない。激戦区の東京で同様の手法を採るラーメン店が出てきてもおかしくはない。

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