東京の人気ラーメン店が採る地域集中の勝算 街と店のイメージ重ね、ブランドをつくる

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国分寺エリアに居酒屋業態などを含む5店舗を展開する「ムタヒロ」グループ(筆者撮影)

このほかにも「ムタヒロ」グループが国分寺エリアに居酒屋業態などを含む5店舗を展開するほか、「灯花」グループも四谷エリアに3店舗を集中している。

全国に200店以上を展開する「天下一品」や「らあめん花月嵐」「来来亭」などのほか、上場企業の力の源ホールディングスが国内に約140店を運営する「一風堂」といった大手ラーメンチェーンで、このようなエリア集中出店を採っているケースはほとんどない。同じエリアにお店をあまりに集中させると、同じチェーン店間でのお客の奪い合いになりかねないからだ。

一方、各中堅以下のラーメン店チェーンが狙っているのかどうかはわからないが、ドミナント戦略は、逆に大手に対抗できる手段になると考えてもよさそうだ。各店で多少お客を食い合うデメリットはあるものの、お店を増やすことで街のイメージとお店のイメージを重ねていき、その地域に集まるお客にファンになってもらい、ブランドを根付かせられる。小規模なチェーンゆえ、人や食材などが足りなくなったときに各店でカバーできるというメリットもある。

とはいえ、各店がドミナント戦略を採った経緯はそれぞれの事情があり、興味深い。

ほかのラーメン店に来られるのが嫌で

「つじ田」の場合、店主の辻田雄大氏はこう明かす。「空きテナントが出たときに、ほかのラーメン店に来られるのが嫌なので……。ほかのお店が出てきて売り上げに影響が出るぐらいなら、自分のお店を出して新しいラーメンを作りたいと思って始めました」。もともとは弱気な気持ちから始まったのだという。

「ムタヒロ」店主の牟田伸吾氏は「すごい煮干ラーメン 凪」の出身でもある。当時、自宅の昭島から新宿ゴールデン街店に通うのに毎日中央線を利用する中で、乗降客の動きを見ていて国分寺に目をつけたという。

「国分寺って人はよく降りるのに、これぞ!というラーメン屋さんがそんなにないんですよね。『The 国分寺』というお店がない。そんな中、南口に空き物件が出たので、300万円を貯めて出店しました」(牟田氏)

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