<3>「行きつけ」を作る
孤独担当大臣を任命したことで話題になったイギリスでは、孤独が大きな社会問題となっており、さまざまな対策が講じられている。特に男性たちが孤立しやすいことが問題視されており、彼ら向けの対策も数多く展開されているが、プライドの高い男性たちは「孤独」を不名誉なこととし、福祉的な視点での取り組みにあまり参加したがらない。また、面と向かって、お茶1杯で何時間でも話すことができる女性に比べ、仕事などの目的がないと話が続かない男性は、たとえば、お酒やゲーム、スポーツなど何らかの「介在」がないとコミュニケーションが難しいという人も多い。
イギリスではサッカーや日曜大工などを通じてそういう男性たちが集まる「居場所」を作る動きが活発だ。日本でも導入されれば、地域活性化にも結び付くのではと思うのだが、そんな話をすると、「参加してみたい」という人もいる一方で、「男同士を集めても張り合って、いがみ合うだけ」という人もいる。人の話を聞くより、自分の話を聞いてほしく、どうしても虚勢を張りがちな男性たちだけを集めても、収拾がつかなくなるという説だ。
磁力が強いのはスナック
日本で、そんな男性たちのオアシスといえるのが、女性たちが会話の円滑油になってくれるクラブ、スナックといったものだろう。ただ、クラブは敷居が高いし、値段も張る。一方で、ママを中心に独特のエコシステムが構築されているスナックなら手ごろだし、足を運びやすい。聞き役であると同時に、モデレーターとなるママがいるスナックなら、カウンターに並んだ客同士のコミュニケ―ションも生まれやすいし、グループのサイズ感もちょうどいい。
つまり、図のように、コミュニケーションに何らかの仲介を必要とする男性たちにとっては、ママという「ハブ」(中核)がいるスナックは、絶好のつながりの場となりうるということだ。年を取ると、遠出をするのがおっくうになりがちだ。だから、なるべく歩いて行ける近場でいくつか「行きつけ」を作っておけば、そこに集う人たちとも気心が知れ、コミュニティもどきもできてくる。居酒屋でも理容室でもいいが、やはり、磁力が強いのはスナックなのかもしれない。ママという観音様に詣でて、胸の内を聞いてもらえば、魂も浄化され、縁というご利益も生まれる。
「孤独を楽しめ」「死ぬときは一人」などと言って、孤独耐性を上げることばかりが推奨される昨今だが、人生最強の資産は、何かあったときに支え、支えられる「つながり」なのである。今、見失われつつある「つながり」の価値。それを見直し、コミュニティ再生の実験場としての「スナック」に無限大の可能性を感じ始めた筆者は、「スナック純子」の立ち上げを本気で考え始めたところである。大勢の美人ちいママ候補の女性からもご賛同をいただいている。遠いか近いかわからぬ将来、開店の暁には、ぜひ、お立ち寄りいただきたい。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら