MBA校で学ぶエリートの"勇敢すぎる"進路 ビジネススクールで最も尊敬される職業とは?

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スタディツアーで、固まった決意

MIT在学中は、ワールド・イン・アジアの活動にアメリカから貢献しながら、ソーシャルビジネスにかかわる実践的な授業を多く履修。

課外活動では「Sloan Entrepreneurs for International Development(SEID)」という学生団体の主要メンバーとなり、新興国の開発を支援した。

2012年3月に行われたMITのスタディツアーでは、ケニアとルワンダを訪れた。現地の農村やスラムで活動する社会起業家や政府関係者を訪問した。

MITのスタディツアーでは、ケニアとルワンダを訪れた。写真はルワンダにて

「ケニアとルワンダでは、社会的起業と政府が果たす役割は、非常に対照的でした。ルワンダは虐殺の歴史を乗り越えるため、政府が強いリーダーシップを持って開発をリードしていて、社会的起業の役割はまだ限られていました。一方、ケニアでは、革新的な社会的起業が多く巣立っていました。たとえば、ソフトウエア開発組織、ウシャヒディ(災害等の緊急時に現地情報を地図上に可視化するアプリケーションを開発)が有名です。

スタディツアーでは、学生チームによる現地の社会的起業へのコンサルティング・プロジェクトも行われた。山本さんのチームは、ナイロビのスラムの低所得者層向けに、住宅資金を小口で貸し付けるマイクロファイナンス団体を担当した。

「この団体が、人々のニーズや生活スタイルと丁寧に向き合いながら支援していたのが印象に残っています。低所得者が住み慣れたスラム地域の土地を政府から買い上げ、そこに、コミュニティアパートを建設していました。住民は、無理のないペースで少しずつ、建設費用を払っていけばいい仕組みです。既存の住民コミュニティを壊さずに、住環境を整えようとする配慮が感じられました」

別の国際支援団体が、スラム居住者を移転させようと、スラムの郊外に建てた高層アパートがあったが、住民は住み慣れた土地を離れ、知らない人ばかりのアパートに住むのを嫌い、移転したがらなかった。提供された部屋を他人に貸す人もいたぐらいだったという。

山本さんは、このスタディツアーで、卒業後は、現場に寄り添い、人々のニーズに応える援助活動をしていきたい、と強く思うようになる。ワールド・イン・アジアを拠点に、社会起業家の道をまっしぐらに進もうと決意を新たにした。

奨学金の返済か、夢か

MIT在学中、その意志が、揺らいだときがある。世界的な経営コンサルティング会社などから内定をもらったときだ。山本さんは、私費留学。卒業後は、教育ローンの返済が重くのしかかる。

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