東北で社会起業家を支援する
「世界にインパクトを与える社会起業家を育てたい」
山本未生さん(34)は、明確な目的を持って、MITスローンスクール・オブ・マネジメントに留学した。
山本さんが、社会貢献活動にかかわるきっかけとなったのは、大学在学中の2003年、マレーシアの孤児院でボランティアとして働いたことだ。
「マレーシアでは、孤児院に住み込み、15人の子どもたちと毎日遊んだり英語を教えたりしていました。そこで目にしたのは、スタッフの不足や運営資金の不足です。その結果、子どもたちへのケアが行き届いていなかったのです」
私が何とか改善したい……。そう思ったが、問題を解決するには、情熱も大切だが、ビジネスの知識を身に付けることが先決だった。
「それまで大学卒業後にNPOで働くことも検討していました。でも、このままNPOで働いても、目指す課題解決にはつながりにくいのでは、と気づきました。それならいったん営利セクターに出て、ビジネスでの学びをいつか非営利セクターに持ち帰ろう、と考えたのです」
大学卒業後は、化学会社で働きながら、マーケティングや営業のノウハウを学び、仕事と並行して、ソーシャルベンチャー・パートナーズ東京に参画。
その後、2011年3月、東日本大震災を機に、社会起業家を支援する一般社団法人ワールド・イン・アジア(WiA)(http://wia.stonesoup.jp)の創設を提案。井上英之さん(元慶應義塾大学特別招聘准教授)や加藤徹生さん(起業家/経営コンサルタント)のほか、アメリカおよびアジアの社会起業家とともに、MIT在学中の2011年9月に同団体を設立した。
MITへの留学を機に、化学会社を退社。社会起業家への道を歩むことにしたのだ。
「私は、『個人が変わることで、組織や社会が変わる』と信じています。国境を越えて、人々をつなぎ、ビジョンを具体化し、対話を促進する。そして一人ひとりが一歩前に踏み出し、社会がよりよい方向に変革していく――。東北でそういう活動を行っていきたいと、この団体を創設しました」
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