「激しいスポーツと認知症」の意外に深い関係 米国ではアメフト選手の告発映画も話題に

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認知症には、アルツハイマー病、脳血管性認知症、レビー小体型認知症など複数のタイプがあります。認知症全体では最も多いのがアルツハイマー病です。若年性認知症に限れば、脳血管性認知症がトップで次にアルツハイマー病、3番目に頭部外傷です。

若年性認知症の原因となる疾患〈図のクレジット〉出典 若年性認知症ハンドブック(平成25年度版)※本図は用語統一のため一部改編しました

近著『認知症 専門医が教える最新事情』でも詳しく書いていますが、認知症の原因は、脳内に特殊なたんぱく質(いわゆる脳のごみ)がたまることです。

アルツハイマー病では最初にベータ・アミロイドというたんぱく質がたまり、次にタウというたんぱく質がたまります。レビー小体型の場合は、アルファ・シヌクレインが蓄積します。脳血管性は脳卒中が発症の原因となりますが、アルツハイマー病を合併することが多く、同様に脳のごみの蓄積が見られます。

この脳のごみの蓄積が脳神経にダメージを与え、記憶力や判断力、理解力などさまざまな認知機能の障害を引き起こし、日常生活に支障をきたすようになるのです。

残念ながらいったんダメージを受けた脳神経は元に戻すことはできません。そのため、ダメージの原因である脳のごみの蓄積をできるだけ少なくすることが重要なのです。

米国のアメフト選手を襲う若年性認知症

では、ごみの蓄積はどうすれば少なくできるでしょうか。

ひとつは、認知症になるリスクが高い病気を予防することです。主なものに40代になると増えだす身近な病気があります。たとえば糖尿病。この病気の人の認知症罹患リスクは約2倍、血管にダメージを与える中年期の脂質異常症ではリスクが2~3倍になります。その他、うつ病や慢性的な睡眠不足、難聴や歯の喪失などもリスク要因です。特に、うつ病との関係は深く、認知症の初期の症状としてうつ状態があります。60歳未満でうつ病の経験のある人は、認知症リスクは約4倍という調査もあります。

若年性認知症の分野で、最近問題になっているのは、くり返される頭部外傷のリスクです。スポーツ選手が転倒や打撲などで頭部に強い衝撃を受け、ときには脳震盪を起こすこともありますが、こういった頭部外傷が将来認知症のリスクにつながるのではないかというのです。

実際、以前から慢性頭部外傷による後遺症は、「ボクサー脳症」として知られていました。頭部にくり返しパンチを受けるボクサーには、認知症やパーキンソン病に似た症状が出る慢性外傷性脳症が起きやすく、進行すると認知症、パーキンソン病を発症することが知られています。

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