沖縄県のデータでは、2017年(2016年度)のキャンプの経済効果は109.5億円、県外からの観客は7万900人となっている。10年前はそれぞれ53.4億円、2.8万人だったから急成長していることがわかる。
沖縄県文化観光スポーツ部スポーツ振興課スポーツ企画班の德嶺竜二氏は、沖縄キャンプの経済以外の効果について、「子どもたちへの影響が大きいと思います。プロの技を間近に見られることに加え、野球教室などで地域児童との交流も図れることから、子どもたちのアスリートキャリアの構築や健全育成に大きく寄与しているものと考えます。また、経済効果に含まれていますが、キャンプを受け入れている市町村はこの時期、凄く盛り上がっており、地域活性化にも大きく貢献していると思います」と語った。
球団の直接的な支援は受け入れ市町村が中心となって行っているが、県としても「スポーツツーリズムの推進を図るため、受け入れ市町村の意見交換会の開催、空港でのめんそーれパーク(キャンプブース)の設置、キャンプ地情報を一元化したWEBサイトやガイドブックでの情報発信など、国内外の方々にプロ野球沖縄キャンプの魅力をPRし、来訪のきっかけとなる取り組みを行っています。また、キャンプの継続実施が重要となるため、球団ともより良い関係の構築を図り、球団、市町村、県、地元住民と一体となり、キャンプ地を盛り上げていきたいと考えています」とのことだった。
沖縄本島への一極集中は今後も進むか?
かつてのキャンプ王国、高知県では今、西武の二次キャンプと阪神の2軍キャンプが行われている。掛布雅之、清原和博、松坂大輔などのスター選手も高知でプロデビューを果たしたが、今は辛うじて実施されているレベルだ。往時を知る筆者は、今回、改めて現地を回って愕然とした。
今も安芸市のタイガースタウンには熱心なファンがやってくるが、高知市のタクシー運転手は「野村克也監督の時代は、高知から何台も安芸へ向けて車が出たもんやが」と嘆く。
鹿児島県や長崎県、広島県、静岡県などのキャンプ地はすでにない。高知県は風前の灯火。この傾向が続けば、沖縄本島への一極集中になりそうだが、話はそれほど単純ではないかもしれない。
昨年のセ・パ両リーグの優勝チーム、広島、ソフトバンクは、いずれも宮崎県でキャンプを行っている。これは、偶然なのか。
前出の福岡ソフトバンクホークス経営管理本部広報企画部部長の鈴木直雅氏は言う。
「温暖な沖縄から本土に帰って、体調を崩す選手もいるのではないでしょうか。沖縄県の2月の平均気温17度は、福岡県では4月の気温です。このギャップを考えれば、徐々に温暖になる宮崎の気候は決して不利だとは思いません」
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