現在、沖縄県の離島のキャンプは2カ所で行われている。
沖縄本島から西に100kmの久米島(沖縄県久米島町)では、2005年の球団創設以来、楽天がキャンプを張っている。久米島球場を中心に、キャンプ施設が整備されている。周囲にはサトウキビ畑が広がる。沖縄本島にもない独特の雰囲気だ。
久米島の東部の仲里球場では楽天の2軍がキャンプを行っている。1、2軍が同じエリアでキャンプを張るメリットは大きい。しかしながら、楽天の1軍は2012年から、2月中盤以降、沖縄本島の金武町(きんちょう)で練習をしている。
このあたりの事情について楽天野球団広報本部広報部長の五十井寛之氏はこう説明した。
「久米島のキャンプは、施設的にも、久米島町の支援体制も素晴らしい。離島というデメリットよりもメリットの方がずっと大きいと思います。ただキャンプ中盤以降は、どうしても実戦が中心になる。沖縄本島の金武町に移動するのは練習試合のためです。そのタイミングで2軍が仲里球場から久米島球場に移ります」
巨人、広島もそうだが、1軍がキャンプ地を移転した後に2軍が入るというパターンが定番になっている。
前述したように、キャンプは1、2軍が合同でやった方が効率は良い。しかし、球団とキャンプ地の間に深いつながりができるとともに、ドライにキャンプ地を移転することはできないという感情が球団、地元双方に生まれる。プロ野球のキャンプが来るにあたっては、自治体側は例外なく公費で球場や環境の整備を行っている。そういうこともあって、2軍が1軍キャンプに移転するということになっているようだ。
今年の久米島の楽天2軍キャンプでは、チームの守備の要、嶋基宏や、セットアッパーの福山博之などの一流どころも調整している。筆者は3年前、沖縄本島の読谷村(よみたんそん)の中日2軍キャンプで、この年限りで引退する山本昌の始動をじっくりと見ることができた。実は2軍キャンプは、通のファンには穴場でもあるのだ。
今年から二次キャンプとなった金武町の楽天キャンプ
さて、沖縄本島の金武町での楽天の練習は、今年から正式に二次キャンプになった。金武町ベースボールスタジアムは、今年1月4日に逝去した星野仙一前監督が、まだ建設中から目をつけ、使用を申し入れたという経緯があるが、完成後はKBO(韓国プロ野球)のKIAタイガースが春季キャンプに使っていた。楽天は開設時から練習に使用していたが、今年から二次キャンプとなった。
球場玄関には、星野仙一前監督の「77」のユニフォームが飾られている。
正式にキャンプを名乗ったことで、出店も増えた。金武町はタコライス発祥の地とされる。タコライスを出す店も数店舗あった。店に話を聞くと、売り上げは今一つとのことだったが、これから人気が出てくるだろう。
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