カーリング娘の会話術がこんなにも深い理由 カワイイ「そだねー」だけじゃない信頼と結果
カーリングは「氷上のチェス」とも言われるほど、戦略の重要度が高いスポーツ。そんな「つねに頭を使う緊張感のある状況にもかかわらず、自然体でコミュニケーションできる」のがLS北見の持ち味でした。だから彼女たちには、「練習の時はうまくできたのに、いざ本番になったら全然ダメだった」というケースが少なく、平昌五輪という大舞台でも普段の力を発揮できたのです。
勝負どころで力を発揮できるムードづくり
事実、LS北見は勝負どころの終盤8~10エンドで強さを発揮するシーンが目立ちました。ラウンドロビンでは、金メダルを獲ったスウェーデンに3点を取って逆転勝ち。銀メダルの韓国にも4点を取って逆転勝ち。準決勝の韓国戦でも3点を取って延長戦に持ち込み、イギリスとの3位決定戦でも3点を取って逆転勝ちしました。いずれも終盤に入って緊張感からミスが増えた相手チームとは対照的に、得点を重ねていったのです。
カーリングの「つねに頭を使う緊張感のある状況」という点は、ビジネスシーンも同じ。彼女たちの活躍を見ていると、「社員同士が自然体でコミュニケーションできるムードを作れば、一人ひとりの力を引き出せる。勝負どころで力を発揮できるのではないか」と感じてしまうのです。
最後に1つ、触れておきたいのは、“コンシード”について。これは「逆転が難しいほど大差がついたとき、自ら相手に握手を求めて敗北を認める」ことであり、日本女子チームもカナダ戦とスイス戦でコンシードしました。
コンシードには、敗北を認める潔さだけでなく、相手を祝福するという気持ちも込められています。もともとカーリングに審判がいないのは、プレーヤー同士でセルフジャッジするフェアプレー精神がベースにあるからであり、相手のプレーを邪魔したり、失敗を喜んだりすることはありません。
約2~3時間ものプレー時間にわたって理性を保ち、フェア精神で振る舞う。カーリングは技術や勝負とは別に、そんなすばらしい精神を見て楽しめるスポーツなのです。だからこそLS北見のメンバーは、単に「かわいくて明るいから」「北海道の素朴な子だから」ではなく、一人ひとりの人間としても、組織的なチームとしても、輝いて見えたのではないでしょうか。
今回はリザーブに回った経験豊富な本橋麻里さんですら、まだ31歳であり、藤澤さん、知那美さん、鈴木さんは26歳、夕梨花さんは24歳。試合中ここまでチームメイト間で会話を交わすスポーツはほかにないですし、だからこそ若い彼女たちのコミュニケーションから学べることは多いのです。
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