カーリング娘の会話術がこんなにも深い理由 カワイイ「そだねー」だけじゃない信頼と結果

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ラウンドロビン(総当たりの予選リーグ)の韓国戦で、あまりにすばらしいショットが決まって、4人とも「声を出すより笑いをこらえるのに必死」というシーンがありました。彼女たちが小刻みにチームワークを再確認し合っているからこそ、こんなほほ笑ましい行動のシンクロが生まれるのです。

短い言葉だからキャッチボールできる

LS北見の会話を聞いていて、もう1つビジネスシーンに役立つだろうと感じたのは、チーム内での確認方法。彼女たちは、つねによりスピーディで確実な確認方法を用いていたのです。

たとえば、知那美さんが「(ブラシでストーンの置きたい場所を大まかに指して)ここに寄るだけでも悪くないし」と言ったとき、藤澤さんは「奥まで?」と細部まで確認。知那美さんが「そだねー。(ブラシで具体的に指して)ここまでかな」と返すと、藤澤さんは「うん」と言ってストーンを投げに行きました。

また、藤澤さんのショットがギリギリ決まったとき、知那美さんが「(ストーンの速さが)3.7(秒)だった」と情報を共有したほか、鈴木さんは「めっちゃ滑ってる(から危なかったね)」、藤澤さんは「(何とか)大丈夫だったね」と返していました。

カーリングは、高度かつ緻密な頭脳戦であるにもかかわらず、攻撃の持ち時間は38分間と決められていて、1投当たりの時間に換算すると、わずか30秒弱。そのため短い言葉で会話を交わしているのですが、短いからこそ互いに声を発し合うキャッチボールになりやすく、確認作業もスムーズなのです。

ビジネスシーンでの確認作業は、つい長い言葉を使いがちですが、それでは会話のキャッチボールになりません。「あんなに言ったのに伝わっていなかった」とならないためには、短い言葉を発し合う形がスピーディで確実なのです。

そんな彼女たちでも、何度か迷ってしまう難しい局面がありました。藤澤さんが「(相手のストーンがサークルの外側に)かかってない」と伝えると、すかさず知那美さんが「(本当に)かかってない?」と念を押しました。藤澤さんが「(もう一度見直して)うーん……」と迷いはじめると、知那美さんが「(念のため相手のストーンを出すために)打っとこうか」とフォロー。判断に迷いそうなときは、すぐに再確認しつつ、長丁場であることを踏まえて確実なほうを選んでいたのです。

彼女たちは各エンドの終わりに、「ナイス!」などと言いながら必ず4人で集まり、確認作業。ストーンの曲がり幅やウエートなどを確認し、データとして蓄積・共有し合っています。

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