前社長が招集、アークン臨時株主総会の争点 情報漏洩発覚後、営業利益は8四半期連続赤字

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情報漏洩の発覚後、営業利益は8四半期連続の赤字。会社側はこのまま行けば、継続企業の前提に注記がつくと焦っていたさなか、前社長から臨時株主総会の招集を受けた(編集部撮影)

3月16日、ITセキュリティ対策を手掛けるアークンの臨時株主総会が招集される。

招集者は議決権の12.13%を握る筆頭株主で、前社長でもある蛭間(ひるま)久季氏。IoTやビッグデータ、AIを前提とした新規収益源を獲得するため、自身を含まない取締役6人の追加選任を求めている。一方の会社側はこうした要求に中立を表明した。

地味なITベンチャーをめぐる経営の混乱だが、経緯をたぐっていくといくつか見逃せない点もある。

情報漏洩事件の顛末

アークンは2001年5月、ITセキュリティ対策へ特化した製品やサービスの提供を目的に設立された。大手通信機器メーカー向けOEM生産が事業の柱だ。

情報セキュリティの強化や個人情報保護を求める時代の波にも乗り、業容を拡大。2015年12月18日には東証マザーズへの上場を果たした。

株価は公募価格1360円に対し、初値は4925円と高騰。12月30日の大納会には1万0440円の高値をつけるなど、人気を集めた(いずれも2016年7月の株式2分割前の株価)。

ところが人気は1カ月も持たなかった。2016年1月4日に封書が届き、同社は社外に設置していたバックアップ用サーバーに不正アクセスを受け、4000社近い顧客情報の一部データを盗まれたことが発覚。アクセスしたと見られる人物から、金銭を支払わなければ、当該情報を公開するという恐喝を受けたことを、同年1月12日に公表した。

なりすましによる不正アクセスを受けたのは外部サーバーであり、同社製品にセキュリティ上の問題があったわけではない。しかし社内管理体制や製品の再検証が終わるまで出荷が停止し機会損失が発生し、2016年3月期は減収減益に沈んだ。

翌2017年3月期は当初、業績の回復を見込んでいたが、事件の影響からか失注が相次ぎ、1.1億円の営業赤字に転落。こうした業績の悪化を受けて2017年5月、当時社長だった蛭間久季氏は引責辞任に追い込まれた。

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