前社長が招集、アークン臨時株主総会の争点 情報漏洩発覚後、営業利益は8四半期連続赤字

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経歴だけみれば、業界に精通しているとは思えない人物も多いが、蛭間前社長は会社側に送った書面で、「アークンのコア技術の応用先をセキュリティ対策のみならず、IoT、ビッグデータ、AIなどを前提とする新たな社会モデルにおける需要にスケールアップする必要がある」とし、こうした点を「早急にかつ具体的に実現する役割を担う人材として(略)、新たに6名の取締役を選任することを提案する」としている。

この株主提案に対して同社取締役会は2月6日に賛成も反対もせず、中立だと表明。会社としては業績の黒字化が最優先課題のため、新規事業に関わる先行投資を一旦凍結し、セキュリティ対策事業に専念していると説明。中長期的な成長を目指す中で、株主提案の内容にも理解は示したものの、戦略のスケールアップや新たな収益源の獲得について具体的な施策の提示がないと指摘している。

そのうえで、会社側は株主の提案する成長戦略が株価に大きな影響を及ぼす可能性があることから、臨時株主総会を開催し、株主の判断を仰ぐために、中立だと表明した。

ただ、蛭間前社長は2010年からアークンの社長の座にあった。情報漏洩後に業績を立て直せず、引責辞任したことに鑑みれば、提案の内容はどこまで実現可能なものなのか、疑問が残る。

会社側は2月14日に管理畑の取締役2人が、3月16日の総会日に「一身上の都合」で同時辞任すると公表。経営の混乱に拍車がかかっている感もある。

16日の臨時株主総会でどんな結論が出るか

蛭間前社長には取材依頼書を送ったが、3月7日時点で回答はない。会社側も「取締役会の書面による中立表明がすべてであり、臨時株主総会終了までは取材に答えることができない」としている。

蛭間前社長は持株比率12.1%、取締役候補者の1人である石井氏は自身のファンドで同2.78%、共同保有者のファンドで同6.02%をそれぞれ保有している。3者合計で約20%では、過半を制するまでにはいかないため、趨勢を握るのはその他大株主の動向になる。

昨年は500円台だった株価も、足元では1000円前後まで切り上がっている。これは従来路線で赤字を縮小させてきた現経営陣の手腕を評価する動きなのか。それとも蛭間前社長による急進的な巻き返し策を期待する動きなのか。

3月16日の臨時株主総会の行方が注目される。

亀谷 保孝 かめや投資経済研究所所長

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かめや やすたか / Yasutaka Kameya

1957年秋田市生まれ。1980年早稲田大学法学部卒業後、秋田銀行入行。有価証券マネジャー、外為カスタマーズディーラー、融資、貿易業務などに従事。2000年秋田銀行を依頼退職。2008年4月、かめや投資経済研究所を設立し、現職。

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