「死んでいる会社」に蔓延する5つの社内病 「管理が優先、現状維持…」あなたは大丈夫?

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会社は本来、社員に対して「会社の方針」や「ありたい姿」を明示することが大切である。その「会社の方針」がきちんと定まっているかどうかにも、「生きている会社」と「死んでいる会社」の差が如実にあらわれる。

【5】「会社の方針」がコロコロ変わる

「生きている会社」ほど、「会社の方針」や「ありたい姿」をきちんと掲げている。社員たちはそれを知ることで「自分がどのように頑張ればいいのか」が明確になり、積極的に仕事に取り組むことができる。

一方で、「死んでいる会社」では、「会社の方針」がいっこうに定まらず、優先する事業が急に変わったり、進めていた事業が急に中止になったりと「会社の方針」がコロコロと二転三転してしまう

「会社の方針」が定まらずにいると、社員はどこに向かってどう頑張ればいいのかが見えず、仕事のモチベーションも上がらない。また、上司に説明を求めても「上の方針が定まらなくて……」と自らリスクをとることはせず、逃げの言い訳ばかりをするようになる。

トップが「ブレない軸」として「会社の方針」をきちんと明示しないようでは、「生きている会社」にはなりえないのである。

あなたの会社・組織は「生きて」いますか?

本記事で解説したように、「生きている会社」では「挑戦→実践→創造→代謝」の“いい循環”が回っている。挑戦や実践を続けるために必要なことをつねに考え、積極果敢に行動している。

一方で、「死んでいる会社」は「管理→抑制→停滞→閉塞」の“悪い循環”に陥り、挑戦よりも現状維持を、実践よりも管理を重視し、創造が生まれず停滞しがちである。

「生きている」か「死んでいる」かは、会社の規模や年齢には関係ない。小さくても「死んでいる会社」はいくらでもある。逆に、大企業でも、みずみずしく「生きている会社」もある。

また、「生きている」か「死んでいる」かどうかは、会社全体のみならず、ひとつの部署、チームにも同様の傾向がそのまま当てはまる。組織の細胞である部や課が生きていなければ、「生きている会社」にはなりえない。

みなさんの会社は、はたして「生きている」だろうか。仮に「いま死んでいる会社」でも、まずは適切な「新陳代謝」を行い、「挑戦→実践→創造→代謝」の“いい循環”を取り込むことで、「生きている会社」に十分変わることができる、と私は確信している。

遠藤 功 シナ・コーポレーション代表取締役

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えんどう いさお / Isao Endo

早稲田大学商学部卒業。米国ボストンカレッジ経営学修士(MBA)。三菱電機、複数の外資系戦略コンサルティング会社を経て現職。2005年から2016年まで早稲田大学ビジネススクール教授を務めた。

2020年6月末にローランド・ベルガー日本法人会長を退任。7月より「無所属」の独立コンサルタントとして活動。多くの企業のアドバイザー、経営顧問を務め、次世代リーダー育成の企業研修にも携わっている。良品計画やSOMPOホールディングス等の社外取締役を務める。

『現場力を鍛える』『見える化』『現場論』『生きている会社、死んでいる会社』『戦略コンサルタント 仕事の本質と全技法』(以上、東洋経済新報社)などべストセラー著書多数。

 

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