カーリング、「メガネ先輩」の意外な経済効果 オリンピック特需が続々と生まれている

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余談だが、同社は、キム・ウンジョン選手が通った大学のある韓国第4の都市、大邱(テグ)に拠点を置く企業だ。繊維の街として古くから知られる大邱市は、韓国のメガネ製造企業の90%が集積する「メガネの街」としても有名だ。

カーリング以外の競技にも光が当たった

韓国が獲得したメダルの中には、韓国であまり人気のなかったスケルトンやボブスレーなどの種目も入っていて、この両競技に使われたヘルメットや、サポートしてきた後援企業にも関心が集まっている。

「企業は人気競技や選手に集まりがちですが、人気のない両種目を全面的に後援してきたCJ(CJグループ:韓国有数の生活用品などを手掛ける企業)は企業イメージをアップさせたといわれています。また、スケルトンで金メダルをとった男子のユン・ソンビン選手が被っていた『アイアンマン』ヘルメットは大人気で、『アイアンマン』をモチーフにしたロボット掃除機や携帯ケースも登場するなど人気を集めています」(前出全国紙記者)

スケルトンのユン・ソンビン選手が使った「アイアンマンヘルメット」を製造したのは、オートバイヘルメット分野で世界シェア1位の「ホンジンHJC」だ。一昨年にユン選手から直接依頼を受けて、3Dスキャン技術を駆使してユン選手の頭にフィットする形を測定し、 素材には航空機に使われる炭素繊維などが使われたと伝えられている。

そして、なんといっても大会中から爆発的な人気が続いているのが、大会マスコットの「スホラン」の人形だ。今まで、パラリンピックのマスコット「バンダビ」と合わせておよそ65万5000個が売れたといわれ(スホラン9、バンダビ1の割合)、ネットの転売サイトでは、「購入」の書き込みがずらりと並ぶ。なかには、選手だけに渡される、昔、科挙合格者にだけ王が授けた御賜花をつけたプレミアムスホランを「100万ウォン(約10万円)」前後で購入するといった書き込みも出ている(朝鮮日報2月28日)。

次はいよいよパラリンピックが3月9日から開催される。どんな選手や名場面が飛び出すのだろうか。「スホラン」に押されていたマスコット「バンダビ」の人気の行方も楽しみだ。

菅野 朋子 ノンフィクションライター

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かんの ともこ / Tomoko Kanno

1963年生まれ。中央大学卒業。出版社勤務、『週刊文春』の記者を経て、現在フリー。ソウル在住。主な著書に『好きになってはいけない国』(文藝春秋)、『韓国窃盗ビジネスを追え』(新潮社)がある。

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