「品格に問題がある」上司に苦しむ部下の叫び 陰口・噂話が大好き「性悪上司」の傾向と対策

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それで、ある時、職場アンケートに、具体的な言動を挙げ、「不快だ、改善してほしい」と実名で書いて提出しました。でも、何日経っても変化なしの、完全スルー(笑)。そこで、私は別部署の上司たちに「ああいう発言、どう思いますか?」と尋ねてみて、「あれは不快だよね」と言う人を見つけて、「ぜひ、忠告してください」とお願いしてみました。その人は、忠告してくれて、上司も「気をつける」と言っていたそうなのです。でも、私がそそのかした忠告だとバレバレだったために、その後、私と上司はとても気まずい関係になってしまい、「下品な発言が減ったかどうか」を冷静に見届けるような状況ではなくなってしまいました。

とにかくかかわりを持たないようにしたまま、部下時代を終えることになり、今考えても成長感の少ない時期になってしまったと思います。学ぶべきところのたくさんある上司でもあったのに、許せない面ばかりに目がいってしまって、もったいないことをしました。つまり、私の試みは大失敗。直球で相手を責めるだけではなんの解決にもならない、ということです。

あなたも、仕事ができ、コミュニケーション能力に長けた上司だからこそ、尊敬したい、不快なコミュニケーションスタイルがなければもっと成長機会が得られる、と考えているのだと思います。

失敗例から考える対策

私の失敗例を考えると、「あなたのこんなところが人としてイヤです」と直球で、直接的、間接的に伝えると、間違いなくこじれます。なので、雑談などの流れで、「本で読んだのですが、あの手の発言は、ハラスメント認定されるケースもあるそうですよ?」と、課題ではなくリスクとして指摘する、などの作戦はどうでしょう。少なくともドキッとはするのではないでしょうか。「やばいね、気をつけないとだね」と言わせられれば、今後、その手の発言をしたときに、あなたが黙ってじっと上司を見つめるだけで、「あ、しまった」と思ってくれるような気がします。

また、「劣化」発言のたぐいは、いくら仲が良くても悪口には変わりありませんから、現行犯で、「ひどい! 言いつけますよ」と憤慨してみせるのは? 「本人にも言っているからいいんだよ」と開き直られたら、「Aさんが女性の外見をそんなふうに言うなんて。ショックで立ち直れません」と悲しんで見せるとかして、尊敬を失う危機を感じさせるのもひとつの手かもしれません。

もし、うまく上司が変化してくれれば儲けもの。変化がない可能性のほうが高いかもしれませんが、試してみる価値はあるでしょう。

あなたの上司のような「情報の取り扱い」に課題があるマネジメントは、必ずどこかでつまずいて、上昇し続けることはかなわないと思います。だから、いずれは淘汰されると思われますが、あなたがせっかくの時間を嫌々やり過ごし、十分に成長できないのはもったいない。

どうしても変化がなければ、その手のコミュニケーションをされたときには席を離れる、そういう場に居合わせないように心掛ける、といった努力をしながらも、なるだけ上司の「良いところ」を見て学ぶように努力するしかないでしょうね。

あなたがいずれマネジメントの立場になったときのために、徹底的に反面教師にするというのもひとつです。「聞き流せない」と自分を追い込む必要なんてありません。自分自身が「人としてのありたい姿」のようなもののイメージを持ち、大切に育てていく機会にすればよいのではないかと思います。

堂薗 稚子 ACT3代表取締役

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どうぞの わかこ / Wakako Dozono

1969年生まれ。1992年上智大学文学部卒業後、リクルート入社。営業として多くの企業を担当し、数々の営業表彰を受ける。管理職として、多様な雇用形態の組織の立ち上げやマネジメント、『リクルートブック』『就職ジャーナル』副編集長などを経験。2004年第1子出産。2007年当時組織で最年少、女性唯一のカンパニーオフィサーに任用され、事業責任者、「リクナビ派遣」編集長を務める。2010年に第2子出産後はダイバーシティ推進マネジャーとして、社内外女性のメンターを務めつつ、ワーキングマザーで構成された営業組織の立ち上げ、マネジメントを担当し、彼女たちの活躍を現場で強く推進した。経営とともに真の女性活躍を推進したいという思いを強くし、2013年退職。株式会社ACT3設立、代表取締役。女性活躍をテーマに、講演や執筆、企業向けにコンサルティングなどを行っている。2013年2月、リクルート在籍時に東洋経済オンライン「ワーキングマザーサバイバル」連載に登場。FBのいいね!数が6000を超えるなど、話題となった。

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