開業50周年「西武船橋」は、なぜ閉店するのか 売上高はピーク時から7割減、8年連続で赤字

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背景にあるのがショッピングモールの台頭による競争激化だ。船橋近郊では2012年にイオンモール船橋が、2013年にはイオンモール幕張新都心が相次いで開業。また、2015年には三井アウトレットパーク幕張が増床したほか、同年にはららぽーとTOKYOーBAYが改装した。

駅反対にあるライバル店の存在

こうしたモール群に、家族客を中心に顧客が流出した面がありそうだ。船橋市に在住する30代女性は「学生時代はバーバリーのマフラーを買ったり、西武にお世話になっていた。今、服を買うのは十中八九、ららぽーとになった」と語る。別の30代女性は「近隣のショッピングモールはテナントが多く、子どもを遊ばせながら買い物ができる」と述べる。

東武百貨店 船橋店は2017年11月、婦人服売り場を縮小し、ビックカメラを誘致した(記者撮影)

さらに別の要因として考えられるのが、ライバル店の攻勢だ。西武船橋店の開店から10年後の1977年。西武船橋店がある船橋駅南口とは反対の北口に、東武百貨店 船橋店が開業した。JR船橋駅、東武アーバンパークライン船橋駅双方の改札口からアクセスしやすい立地にある。

船橋東武の利用客からは「東武は西武より船橋の雰囲気に合っており、入りやすい。安いイメージもある」(60代女性)という声が聞かれたほか、「食品はテナントが多い東武で購入する」(別の60代女性)と話す常連客もいた。

船橋東武の合谷俊一店長は「駅直結ということもあり、地域に密着しデイリー性のある百貨店を目指していることが支持されている。日常に取り入れやすい衣料や雑貨、食品フロアは力を入れてきた」と話す。

東武百貨店 船橋店の合谷俊一店長は、西武船橋の閉店について「残念だ」と語る(記者撮影)

ただ、地域一番店の東武といえども安泰ではない。2016年度の売上高は391億(前期比3.6%減)と西武船橋の倍以上だが、売上高は年々減少傾向にある。「近隣のららぽーとやイオンには映画館など、エンタメ性のある要素もある。同じ土俵では戦えないが、われわれも多様性や楽しさという要素をもっと取り入れていく必要がある」(合谷店長)。2017年11月には婦人服売り場を縮小し、ビックカメラを誘致するなど集客に力を入れている。

他方、西武船橋店の閉店について、合谷店長は「切磋琢磨してやってきたので閉店は残念だ」と語る。

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