同時に、多種多様な分野の知識がぐんぐん吸収されます。知識が増えると、「もっと知りたい」という知的好奇心が刺激され、ますます読むようになります。新しい言葉も覚えるので語彙が豊富になります。語彙が豊富になると読解力もつきますし、思考力や表現力もつきます。これらはすべて、いわゆる勉強をするうえでも絶対的に必要な能力であり、それが自然についていくのです。
「図鑑を引く」
もちろん、テーマ型だけでなく、博物型の図鑑もまた学力の底上げに大いに貢献してくれます。たとえば、家の軒先にツバメが巣を作っているのを見たり、テレビでツバメのことを扱った番組を見たりなどしたときに、鳥の図鑑でツバメについて調べてみるのです。これを、私は「図鑑を引く」と呼んでいます。
図鑑には、いろいろな種類のツバメが出ていて、ツバメの生息地、生態、餌、子育ての仕方なども出ています。「ツバメは季節に従って長距離の移動を繰り返す渡り鳥である」という説明を読めば、渡り鳥という概念を知ることもできます。図鑑で知識を得ると、次に本物のツバメを見たとき、以前より興味深く見たり観察したりすることができます。こういう経験をした子は、小学4年生の理科で、あるいは中学や高校の理科の授業で渡り鳥の勉強をするときにも、とても興味深く取り組むことができます。
また、たとえば、テレビでタレントがアマゾン河流域を旅する番組を見たら、地理図鑑でアマゾンを調べてみます。すると、アマゾンの位置、自然環境、動物、植物、人々の生活など、いろいろな情報を読むことができて知識が増えます。一度このようにちょっとした深掘りをしておくと、その後テレビ、新聞、雑誌などでアマゾンについての情報が出てきたときにも、意識に引っかかるようになり、それによってまた知識が増えます。すると、中学や高校の地理の授業でアマゾンについて勉強するときにも、興味深く取り組むことができるようになります。
家族旅行で古墳を見たら歴史図鑑を引き、キッザニアで職業体験をしたら仕事図鑑を引きます。水族館で魚を見たら魚図鑑、乗り物に乗ったら乗り物図鑑です。テレビのクイズ番組で素数や円周率などの話題が出たら算数・数学図鑑、健康番組を見たら人体図鑑、新しい惑星が発見されたというニュースを見たら宇宙図鑑です。「春一番が吹きました」というニュースを耳にしたら季節の図鑑、年賀状を書くときは生活図鑑です。たとえ調べたものを全部読まなくても、ちょっと見たり読んだりするだけでもかなり違います。
できたら、読んだところや印象深いところに、マーカーペンやボールペンで印をつけておくのもいいでしょう。つまり、足跡を残しておくのです。それが増えると、もっと増やしたいという気持ちが出てきて、ますます活用するようになります。また、以前調べた印のあるところは自然に目に止まるようになるので、その都度ちょっとした復習ができます。それによって、知識の定着が促進されます。日頃からこのような「図鑑のある生活」を送っている子は、知識が豊富で知的好奇心も旺盛ですから、自然に学力がつき成績も上がります。毎日のちょっとした知的な積み重ねが、「塵も積もれば山となる」で膨大なものになります。こういったことがまったくおこなわれていない生活と比べれば、その差は歴然です。
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