「親の失敗談」が子どもの"最高の栄養"になる 「どう生きるか」を考える材料は身近にある

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この人も自分と同じ人間なんだということがわかることで、ぐっと親しみが増す、そんな種類の話があります(写真:Laikwunfai/iStock)

皆さんは、子どもに「生々しい失敗談」をどれだけ語っていますか? その影響力、重要性を考えたことがありますか?

私が教師だったときのことです。運動会が近づいたある日、私は子どもたちに次のような話をしました。

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先生(私)は子どものころ、運動会の徒競走で、いつも4番か5番か6番でした。それで、徒競走が大嫌いでした。特に、スタートする前が嫌でした。みんな速そうだなとか、このメンバーだとまたビリかビリ2番だな、とか考えて、すごくドキドキしていました。

3年生のときの運動会で、こういう状態でドキドキして待っていると、隣に並んでいた子が話しかけてきました。「ぼく、走るのがすごく遅いんだ」「そう? ぼくもだよ」「じゃあ、2人で一緒に走らない?」「えっ?」「1人だけビリになるの嫌だから、一緒に走って一緒にビリにならない?」「うん、いいよ」。

そして、いよいよ、スタートのときがやってきました。「位置について、ヨーイ、ドン!」。杉山少年(私。本名が杉山です)は一生懸命に走りました。横を見ると、一緒に走ろうと言ってきた子も一生懸命に走っています。ところが、そのうち、あれ、あれ、なんと、その子がだんだん前に行ってしまうではありませんか!

「なんだかぼくってバカみたい」

なんでそんなに速いの? 一緒に走ろうって言ったじゃん! 「待って~、こら~」と心で叫んでも、声にはなりません。とうとう、杉山少年はビリでゴールイン。一緒に走ろうと言っていたその子はビリから3番でした。走り終わった杉山少年は思いました。いったい、あの約束はなんだったのだろう? はてな、はてな? なんだか、ぼくってバカみたい。

これは、私が小学生のときの実話です。私は、受け持った子どもたちに運動会の度に何回も話してきましたが、毎回子どもたちに受けました。特に、スタート前の緊張しているところや走っていてだんだん遅れていくところの描写が受けます。そして、最後の「なんだかぼくってバカみたい」のところで大爆笑になります。この話に限らず、私はときどき「杉山少年物語」という題で、自分が子どもだったときの話をしてあげました。いつもは先生の話などほとんど聞かない子でも、こういう話になると目を輝かせて聞いていました。

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