ところが、近ごろ相次いで登場している図鑑は、何かを羅列的に載せたものではありません。ある特定のテーマをもとにしてつくってあり、いわば「テーマ型図鑑」です。
たとえば、“ひみつ”というテーマをもとに編集した図鑑は、子どもが興味を持ちそうな乗り物、生物、宇宙、体、生活などの面白い秘密をいっぱい紹介する図鑑です。また、“いちばん”というテーマの図鑑は、速さの一番、高さの一番など、多種多様な一番を紹介しています。“くらべる”というテーマの図鑑は、人・動物・建造物の大きさや、人・動物・乗り物の速さなどを比べています。
これらの図鑑は、もともと多くの子どもが興味を持ちそうなテーマを選りすぐってつくってあります。また、ビジュアルが重視されて迫力がある写真や美しいイラストも満載です。しかも、文章も通り一遍の説明ではなく、子どもが楽しく読める読み物風になっています。ひと言で言えば、従来の“図鑑”よりも“絵本”に近いつくり方になっているのです。
実際、大人が読んでも実に面白く読めて、「へえ。そうなんだ! なるほど」という発見の連続で、かなりの知的な刺激を受けることができます。当然、子どもたちの食いつきもよく、非常によく売れるようになりました。
博物型の図鑑の見直しが行われている
テーマ型図鑑の大成功が刺激となり、従来からある博物型の図鑑の見直しも行われるようになりました。それで、こちらも急速に進化してきています。
具体的には、写真やイラストが以前のものに比べてはるかに美しく迫力があるものが増えました。また、単に多くのものを羅列的に紹介するだけでなく、面白く読めるミニ知識や興味深いコラムがたくさん挿入されるようになりました。また、動画を収録したDVDがつくものも出て、これが大評判になり非常によく売れています。
以上、図鑑革命と図鑑ブームについて紹介しましたが、なぜ私がこれほど図鑑に注目するかというと、これが子どもたちの学力の底上げに大いに役立ち、勉強好きに変えるきっかけになると考えるからです。
たとえば、面白いテーマ型図鑑を絵本を読むように読んでいるうちに、文字の習得が進みます。つまり、平仮名や片仮名はもちろん、漢字もどんどん読めるようになるのです。見出しや説明の文章には漢字がかなり使われていますが、すべてルビがふってあるので、学校で習っていない漢字もどんどん読めるようになるのです。
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