「女子の中に1人だけ男子」現象が広がるナゾ 「女子会男子」は男女相互のニーズで成立する

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男友達とバカなことで盛り上がるのも、大勢の飲み会で盛り上がるのも、もちろん楽しいし好きなのだが、そのノリにたまに疲れたときに、ダラダラ話して気張らずに楽しめる女子会はとてもいい空間だと感じるそうだ。

バイト仲間の女子4人と旅行へ(写真:研究員提供)

女子の中に男子が“1人だけ“、であることは重要なのかと聞いたところ、「男子が2人以上いると、どうしてもそこに面白さを見いだそうとする“男子ノリ”が生まれてしまう気がする。また、その場にいる男子同士、女々しい自分を出すのが恥ずかしいという気持ちもあって、女子会のような赤裸々な話はしづらくなると思う」とのことだ。

プライドなどを気にせずに開けっぴろげに語れる女子会は、男子ノリに疲れた男子のオアシス的な存在なのかもしれない。

このように、女子グループに1人だけ男子が混じっているという状況は、男子と女子のお互いのメリットのもとに成立している。新しい人付き合いの形と言えるのではないだろうか。

原田の総評:男女双方にメリットがある

女子会男子についての現場研究員のレポート、いかがでしたでしょうか? 彼らを見ると、男女双方にメリットがあり、女子会男子が成立していることがわかります。

私が以前インタビューした、よく女子会男子とつるんでいるというある女子は、「私たち女子だけのガールズトークだと、会話の内容や表現が相当過激になってしまいます。彼氏のHが下手だとか下ネタになることも多いし、他人の悪口もかなり過激になり、歯止めがきかなくなります。でも、そういう中に1人、ほんわかした男子が入ると、その子が女性的なタイプといえども男子は男子なので、通常のガールズトークのように、女子を完全に捨てたトークはできなくなり、場の調和が保たれるようになるんです」と話してくれました。

また、以前の男子は、本当はかわいいものが好きでも、男子の間ではマッチョなフリをしなくてはいけなかった、ということも多かったと思います。実は私も小学生時代、少女漫画の『キャンディ・キャンディ』が大好きだったのですが、周りに合わせて『北斗の拳』好きなフリをしており(いや、北斗の拳も好きだったのですが)、時が時だったら女子会男子になっていたかもしれません。

そういう意味では、平成が終わりかける中、男女ともに同じポケモンで遊んで育ち、男子も家庭科が必修の中育った今時の若者たちだからこそ、この女子会男子が自然と増加しており、彼らは社会に合わせて無理に振る舞うことのない、”自然体な世代”と言うことができるかもしれません。

原田 曜平 マーケティングアナリスト

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はらだ ようへい / Yohei Harada

1977年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』『寡欲都市tokyo』などがある。YouTubeはこちら

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