保育園、親のホンネは中身だって重視したい 「質の高い保育」は、どうすれば実現できるか
――井上(竜)さんはすでに3人のお子さんを保育所に通わせた経験がありますね。今の話を聞いてどうお感じになりますか?
井上竜:分かります。1人目の子は11月生まれ。認可保育所には4月の募集に0歳で入れないと、事実上もう入れない。翌年4月の時点ではまだ生後5カ月ですから、本当はもうちょっと家でみていたい微妙な時期なんですよ。(育休中の妻が)復職できないと困るので申し込みましたが、第7希望まで認可は全部落ちました。
当時、そんなに厳しいだなんて知らなかったんです。「共働きでフルタイムだし入れるだろう」と気楽に考えていた。今は情報があるから早めに動くんでしょう。
2人目は4月生まれなんですけど、一人目の時にもやもやした気持ちだったので「産み月」を考えちゃいました。3人目のときも8月産まれですが、考えました。本当は何月生まれだろうと関係なく、子供はすこやかに育てたいと思っているのに、保育園への入園時期から逆算して考えないといけない状況になっているのは寂しい。今は卒業したから「寂しい」だけど、その渦中にいるときは、やっぱり理不尽だなあと思いましたね。
世田谷区は待機児童数が全国ワーストの自治体と言われているんですけど、後で調べてわかったんですが、第1子は事実上入れないんですよ。フルタイムポイントときょうだいポイント(※)を持っている人で、0~1歳は97~98%埋まってしまってるんです。だから、フルタイムの人でも残りの2~3%の枠しか入れない。でも第1子にきょうだいポイントは加算されない。1人目の保活の不安さはすごくよく分かりますね。
ただ造ればいいというわけではない
後藤:そういう厳しい状況を踏まえて、施設整備を進めているんですけど、まだまだ足りない。就学前児童の保育所の入所率は、世田谷区は全国平均からみてもまだ低いんですよね。2020年4月の待機児童解消を目指して、来年度は1400人ぐらいの定員増を確保しましたが、都市部特有というか、整備すればするだけ情報が流れて、どんどん人口が流入してくる部分もあります。
待機児童解消を最優先に進めてきて、成果は徐々に出つつあると思っています。昨年ようやく区の待機児童数が1000人を切って3桁になったので、今後はただ造ればいいというのではなく、きめ細やかな整備をしていかないといけない。地域ごとの人口の動きを見極めて、この地域で施設を造らないと意味がないといった部分がより顕在化してきている、とても難しい状況です。